佐賀駅ルート「最善」 長崎新幹線、国が3ルート比較 県は反発

林国広
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 九州新幹線西九州ルート(長崎新幹線)で未着工区間(新鳥栖―武雄温泉)の整備方法をめぐり、県と国土交通省の「幅広い協議」が22日、県庁であった。同省はフル規格での事業費について佐賀駅ルート(約6200億円)の他、新たに佐賀市南部の佐賀空港経由は約1兆1300億円、同市北部経由ルートは約5700億円~約6200億円との試算を公表した。

 県と国交省の幅広い協議は5回目。前回5月末の協議で、県は国交省に対して計3ルートの事業費などについて試算を求めていた。この日は県は山下宗人・地域交流部長、国交省は川島雄一郎・幹線鉄道課長が公開で協議に臨んだ。

 同省によると、佐賀空港ルートは、九州新幹線筑後船小屋(福岡県筑後市)から佐賀空港経由で、武雄温泉に向かう。整備距離は約51キロ。軟弱地盤のために地盤改良工事が必要で、費用がかさむという。JR九州にとって現行の特急運行と比較した年間の収支改善効果はないという。

 市北部ルートは、佐賀市中心部を避けて長崎自動車道方向に迂回(うかい)するルート。新鳥栖から中間駅(未定)を経て武雄温泉に向かう。整備距離は約51~54キロを見込む。同ルートは埋蔵文化財発掘調査・保存などが必要になるという。年間の収支改善効果は約62億円~約75億円。

 これに対し、佐賀駅ルートは、新鳥栖から佐賀経由で武雄温泉に向かう。整備距離は約50キロ。年間収支改善効果は3ルートで最も高い約86億円を見込む。

 協議で同省の川島課長は「費用や効果で考えると、我々としては佐賀駅ルートがベストな選択肢ではないかと思う」と述べた。

 これに対し、県の山下部長は「佐賀駅ルートは特急がなくなるなど失うものが大きすぎる」と反発。「100年先を見すえた九州の発展をどう考えているのか、この地域がどうなるのかなどについて触れられていない。考えていたものと違う」と不満を述べた。

 一方、JR九州などが導入を断念した最高時速270キロのフリーゲージトレイン(FGT)について、県は同200キロ程度まで下げれば開発の可能性があるのではないかとただしたが、同省側は「最高時速270キロのFGTを断念したのと同様の課題が残り、開発に予算や時間を費やすのは現実的ではない」と回答した。

 県はこれに納得せず、次回協議で再度議論することを求めた。(林国広)

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