沖縄の酒税軽減廃止を議論へ 半世紀の歴史、泡盛業界は「段階的に」

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吉田貴司 女屋泰之
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 半世紀にわたって続いてきた沖縄県産酒類への税の軽減措置について、月内に本格始動する今年の与党税制調査会が廃止に向けた議論をスタートさせる。これまでも廃止の議論は何度もあったが、今回は即時廃止を恐れる泡盛業界が自ら「段階的廃止」を提言しており、いつもとは雰囲気が異なる。結論は12月10日ごろまでに出る見通しだ。

 沖縄対象の軽減措置は本土に復帰した1972年、消費者や産業への影響を緩和する措置として始まった。「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」などをもとに、今は48の酒蔵、メーカーが県内向けに出荷する商品を対象に泡盛で35%、ビールなどその他の酒で20%減らしている。

 額はアルコール分30%の泡盛1合瓶(180ミリリットル)の場合で19円、350ミリリットル缶入りビールなら14円。年20億円強の減税規模で、これまでも廃止の議論はあったが、そのたびに税率を変えながら延長されてきた。

 ただ、来年は復帰50年を迎える年で、政府・与党内で単純な期限延長に慎重な声が多い。節目の年に向けて様々な沖縄振興策を見直すなか、酒蔵などの支援を続けるにしても別の形を探るべきだなどとする意見が増えている。

 地元の泡盛業界もこうした雰囲気を察し、今年6月にあった自民党の沖縄振興調査会で自ら「段階的廃止」を提言した。即時廃止になった場合、経営が立ちゆかなくなる酒蔵が出ることなどを危惧した「苦しい決断」(県酒造組合の新垣真一専務理事)だった。

 これを受け、内閣府は来年度に向けた税制改正要望を財務省に提出した。泡盛は県内への年間出荷量に応じて酒蔵を3グループに分け、小さな酒蔵に配慮しながら32年5月までに軽減措置を段階的に廃止する。ビールなどその他の酒類も、全国でビール類の税率統一が予定される26年10月を期限に段階的に廃止する案だ。

 与党税調はこの要望を軸に議論し、22年度の税制改正大綱に見直しを盛り込む見通しだ。

島の人に買われなくなったら…不安の声

 県酒造組合によると、泡盛の…

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