トタン板に囲まれ、半世紀塩漬けの市有地 売るに売れない理由とは

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岩堀滋
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 【神奈川】小田急小田原線沿いにある相模原市南区の市有地が、半世紀近く未利用の「塩漬け」状態になっている。相模大野駅―小田急相模原駅間にあり、市は新駅設置を見越して取得。小田急電鉄からはゼロ回答だったが、新駅設置を望む周辺住民との交渉が難航して市は別用途利用を打ち出せていない。市は25、27両日の23年ぶりの住民説明会で新駅設置断念を改めて説明。未利用地の活用について意見を聞き、事態打開をめざす。

 市有地はトタン板に囲まれた「駅前広場用地」(約1100平方メートル)と、線路際にある細長い「電車停留場用地」(約810平方メートル)。電車停留場用地は周辺住民が一部を自主的に農地として使っている。いずれも半世紀前の1961年に市施行事業として認可、69年までに地権者の換地が完了した土地区画整理事業の一環だ。トタン板とゲートが設置されたのは少なくとも80年代末期とされる。

 市によると、同事業完了後、口頭を含めると小田急との間で少なくとも6回のやり取りがあった。小田急は97年、新駅設置で他の列車の運行に支障が出ることや、相模大野―小田急相模原間が2・2キロで市有地周辺から十分徒歩圏内にあるとして「計画を有しない」と回答。市は98年の住民説明会で、新駅設置断念を表明していた。

 その後、市は市有地を公共施設や福祉農園として使う構想を抱いたが、周辺住民の一部から新駅を求める声が強く、これも断念。両者の話し合いは長引き、解決の糸口が見いだせない状態が続いた。

 事態が動き始めたのは今年3月。定例市議会で鈴木秀成氏(市民民主)の質問に、本村賢太郎市長が問題の市有地の売却方針を打ち出した。また、市都市建設局長は、61年の事業認可時点で新駅設置は未決定だったと思われると述べ、半世紀近くにわたり市有地が有効活用されなかったことは「誠に遺憾」と答弁した。

 ただ、売却にも難題がある…

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