ローカル鉄道の未来考える JR四国常務らが千葉で座談会

福家司
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 【香川】四国の鉄道の歴史や今後の地方の公共交通のあり方を考える座談会「いすみも四国も繫(つな)がっているから~ローカル鉄道の未来って~」が13日、千葉県いすみ市で開かれた。大型観光企画「四国デスティネーションキャンペーン(DC)」に合わせた企画で、JR東海顧問の須田寛さん、いすみ鉄道の古竹孝一社長(高松市出身)、JR四国の長戸正二常務、鉄道写真家の広田尚敬さんが意見を交わした。

 四国DCの番外編として、JR四国でかつて使われていた急行のヘッドマークをいすみ鉄道が借り、10月から国鉄型ディーゼル車に掲げて運行。座談会はこれをきっかけに企画され、いすみ鉄道国吉駅に停車中のディーゼル車内で行われた。

 1960年ごろ、当時の国鉄四国支社に勤務していた須田さんは、準急増発の際にヘッドマークを作製。また、予讃線は青、土讃線は赤、高徳線は緑と路線ごとのカラーを導入した。これらを背景に、後に急行列車のヘッドマークを色分けすることを提案し、実現したことを紹介し、「こんなに長く使っていただいたことは光栄で、感謝している」と述べた。

 須田さんは、蒸気機関車からディーゼル車への四国の鉄道の近代化についても振り返り、徳島地区でディーゼル車の大量投入によるパターンダイヤを実施したことや、宇和島線(現・予土線)で小型ディーゼル車「レールバス」を導入したが通学生を乗せきれず失敗した、などのエピソードも披露した。

 また、国鉄の千葉地区でもかつてディーゼル車の導入による近代化が行われたことや、急行列車にヘッドマークが付けられていたことから、写真家・広田さんは「千葉と四国は共通点がある」とも指摘した。

 JR四国の長戸常務は、2019年に約60年ぶりに徳島地区でパターンダイヤを復活させ、バスとの連携を始めたことを紹介。「ローカルは鉄道だけでは生きていけない。他の交通機関とも連携しながら、公共交通を実際に使えるよう残していかなければいけない」と強調した。

 須田さんは「駅に人が集まる施設を併設し、駅を面白くして、駅を中心にまちづくりを進めるべきだ」と提案。いすみ鉄道の古竹社長は「21世紀はそれまでの巨大都市、大量生産が、だんだん分散、少量生産に変わってきており、地域にできることは無限にある。鉄道会社として一つひとつ形にしていきたい」としたうえで、「鉄道で感じるのは、つながるということ。今回のような試みを続けて、ご縁を形にしていきたい」と話した。

 座談会はライブ配信され、いすみ鉄道の公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=8yqlqzltSmM別ウインドウで開きます)で視聴できる。(福家司)

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