デクラーク氏が遺言動画を公開 アパルトヘイト政策を謝罪

ヨハネスブルク=遠藤雄司
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 11日に死去した南アフリカ・デクラーク元大統領の財団が同日、本人による「遺言」の動画をウェブサイトに公開した。デクラーク氏は「アパルトヘイト(人種隔離)政策が南アの黒人やインド人らにもたらした苦痛、侮辱、損害について無条件で謝罪する」と語っている。

 デクラーク氏は動画の中で、若いころにアパルトヘイトを支持していたことを認め、「1980年代初頭から考えが完全に変わった」「心の底からアパルトヘイトが誤りだと悟った」などと釈明した。

 ラマポーザ大統領は同日声明を出し、デクラーク氏について「90年代の民主主義への移行に重要な役割を果たした」と指摘。「支持者らの反発がある中で、政党の禁止を解除し、政治犯を釈放し、民主化運動との交渉を開始するという勇気ある決断を下した」と評価。英国のジョンソン首相も「歴史の流れを変えた指導者」と表現し、「明白に正しいことを行って南アフリカをより良い国にした勇気と現実主義により、彼は人々の記憶に残るだろう」と死を悼んだ。

 一方、南アでのデクラーク氏への評価は賛否が入り交じっている。国営南アフリカ放送協会は同日の放送で、「賛辞を贈る人もいれば怒りや失望を表す人もいる」と指摘。出演した地元のジャーナリストは「デクラーク氏が政府にいた時期に行われた暗殺などの残虐な行為について、彼は責任を問われることがなかった」などと批判した。(ヨハネスブルク=遠藤雄司

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