コロナ補助金、7医療法人を誤って採択 経産省がパソナに実務を委託

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井上正一郎
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 コロナ禍で影響を受けた中小企業の業態転換を支援する補助金事業で、経済産業省が6月、要領では対象となっていない医療法人を誤って採択し、通知していたことが分かった。誤採択は7法人で、補助額は最大で計3億3千万円。同省は取材にミスを認め、「多くの申請があり、確認が不十分だった」としている。

 採択ミスは7月に発覚し、同省側は7法人に連絡したが、採択を受けて既に新事業に資金を投じた法人もあり、影響が出ている。

 誤採択が起きたのは、同省中小企業庁の「事業再構築補助金」。同庁は実務をパソナに委託している。

 同庁によると、3月末から5月初旬まで1回目の公募を実施し、2万2231件の応募があった。審査で8016件の採択を決め、6月中旬に公表。この中に全国の七つの医療法人が含まれていた。中小企業への補助は幾つか種類があり、7法人については1者あたり最大6千万円か1500万円だった。

 この補助金の要領では、対象は収益事業を行う場合に限定している。通常の医療法人は法律上、収益業務はできないため、対象から外れる。公益性の高い医療を担う「社会医療法人」は対象に含む。

 採択された社会医療法人の数について外部から問い合わせがあり、調べる過程で7月上旬、誤採択が発覚した。社会医療法人ではないため本来は申請できないはずの通常の医療法人七つから申請が出され、誤って採択していたという。

 同庁はミス発覚後の7月中旬、同補助金を説明するホームページの「よくある質問」の欄に、「社会医療法人が収益事業を行う場合のみ対象」と追記した。

 同補助金は、採択された法人などが実際に事業を実施し、終了後に請求して支払いを受ける仕組み。今回の7医療法人はいったん事業を採択されたが、支払いは受けていない。

 採択を受けた医療法人の一つは取材に対し、「国の採択を受けたので新事業に向け動き出し、既に高額な設備を導入してしまった」と話した。

 パソナは取材に対し、7医療法人に誤りを伝えたが、うち1法人から了承を得られていないことを明らかにした。同社は「立ち上げ時に大量の申請があり、要件審査の段階で十分な確認ができなかった。ご迷惑をおかけし、申し訳ない」としている。7月に締め切った2回目の公募では誤採択はないという。

 中小企業庁は誤採択を公表していない。同庁技術・経営革新課は「誤って採択した事業者には個別に連絡をしていて、説明は尽くしていると考えている」としている。(井上正一郎)

憤る医療法人「新事業へ既に高額な設備導入」

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