80代から急落する投票率、体調に過疎問題も 自治体の模索

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池田拓哉
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 選挙の投票率は、おおむね年齢層が上がるほど高くなる一方、80代になると低くなる傾向がある。体の衰えで投票所へ足を運びにくくなるのが要因とみられるが、過疎地では投票所の統廃合の影響も懸念されている。「十八歳選挙権」に対し、「八十歳選挙権」とでも言うべき問題で、投票所への「足」として、無料のバスやタクシーを活用する自治体もある。

 栃木県日光市三依(みより)地区は、川治温泉や福島県会津地方に隣り合う。27日午前10時半、地区センターにマイクロバスが到着し、高齢者が続々と降りてきた。

 地区で唯一の期日前投票所。しかも、地区内の3地域と結ぶマイクロバスの無料送迎は、この日だけだ。君島里子さん(83)はバスで約20分かけて到着した。「投票には毎回行っているよ。好きな人に当選して欲しいからね」

 市選挙管理委員会によると、三依地区では昨秋の知事選から、4カ所あった期日前投票所が1カ所に減った。廃止された投票所は、1日おきに設けていたものの、それぞれで職員3人、立会人2人を確保するのが難しくなったという。担当者は「選挙事務の効率化を図った」と話す。

 三依地区(298人、28日現在)の高齢化率は64%(191人)。人口の約3割(88人)を80歳以上が占めている。市は投票所への交通手段を確保するため、自治会にバスの運行を提案し、納得してもらった。

 27日は4便が運行され、高齢者15人がバスを利用して投票した。昨秋の知事選では1人、今年5月の市長選では9人。回覧板による周知で、利用者は増えてきた。市選管は「人口や職員の減少による投票所の統廃合は、今後もあり得る。交通手段の確保に引き続き取り組みたい」。

 総務省がまとめた2017年の衆院選の全国投票率(抽出調査)は、20代前半(30・74%)から年齢層が上がるごとに高くなり、70代前半(74・16%)が最高だった。それが70代後半で70・26%にやや下がり、80代以上は46・83%に急落。こうした傾向は「県内でも同様」(県選管)という。

 高齢化率が40%を超えて県内一高い茂木町は、町内の有権者を対象に、自宅と期日前投票所を無料タクシーで往復できる制度を、16年の参院選から導入した。町によると、予約センターに「期日前投票に行く」と伝えると、タクシーが自宅まで迎えに来る。選挙のたびに60人前後が利用しているという。

 選挙制度実務研究会(東京都

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