北海道芦別市が今年3月、札幌市のマンションの一室を、所有者の固定資産税の滞納を理由に差し押さえた。滞納したのは、芦別市にあるJR芦別駅前のパチンコ店の土地・建物の税。だが、あえて100キロほど離れた札幌のマンションを差し押さえた。
差し押さえを受けたのは、岩見沢市などでもパチンコ店を経営する南川富美雄さん(59)。経営が立ちゆかず、事業を清算する手続きの最中だった。1月に、二つの銀行口座にあった計約244万円余りを差し押さえられ、それでも不足する約174万円のために、今度は札幌の自宅マンションまで差し押さえられた。マンションを担保にした借り入れで資金繰りを考えていたため、差し押さえで清算事務も止まった。
南川さんには、固定資産税を滞納しているパチンコ店には、評価額ほどの価値などないという不満があった。それなのに自宅まで差し押さえられ、芦別市と談判しようと考えた。そこに救いの手を差し伸べたのが、青山学院大の学長を2019年に退き、弁護士として活動する三木義一さん(71)。元々は税制が専門の学者で、民主党政権では政府税制調査会の委員に就いた経歴も持つ。
南川さんと三木さん、そして記者の3人で今秋、芦別市のパチンコ店の現場を訪れた。
「一等地」のはずが…暗闇の中で起きたことは
そこは駅前の「一等地」のは…
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