延暦寺の戒壇院、初めての特別拝観 法華総持院東塔も

筒井次郎
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 比叡山延暦寺大津市)は、これまで一度も公開したことのない戒壇院(かいだんいん、重要文化財)の特別拝観を実施している。今年は寺を開いた最澄(伝教〈でんぎょう〉大師)の1200周忌の大遠忌(だいおんき)にあたり、「とりわけ最澄の思いがこめられたお堂」(延暦寺)として、法華総持院(ほっけそうじいん)東塔とともに公開を決めた。

 戒壇院は、天台宗で「正式な僧侶」となるための「受戒」の儀式をするお堂。儀式は年に一度だけで、僧侶にとっても中に入れるのは生涯に一度だけとされる特別な場だ。

 最澄は晩年、自身の唱える「一隅(いちぐう)を照らす」人材を育てるため、比叡山に戒壇院の設立を目指した。亡くなる前日に朝廷から勅許が下り、死後に建立された。後に各宗派の開祖となる法然(ほうねん)や親鸞(しんらん)らも、この場で誓いを立てた。

 織田信長による比叡山焼き打ち(1571年)で焼失したため、現在のお堂は、江戸時代(1678年)に再建された。特別拝観での堂内は、受戒の儀式の時のようにわずかな明かりだけの厳かな空間だ。

 一方、法華総持院東塔は、最澄が全国6カ所に建立した宝塔の中心の役割を担う。信長の焼き打ちで焼失し、1980年に鎌倉時代の絵図を元に創建当時の姿を再現して建てられた。

 二つのお堂は総本堂・根本中堂(こんぽんちゅうどう)のある東塔(とうどう)地区にある。今出川行戒(ぎょうかい)・参拝部長は「特に戒壇院は重要なお堂で、もう二度と開けないかもしれない。大遠忌という節目にお大師様の思いを肌で感じて頂けたら」と話す。

 12月12日まで。午前9時~午後4時(12月は午前9時半~午後3時半)。国宝殿の特別展との共通券(大人500円、中学・高校生300円、小学生100円)で拝観できる。限定の御朱印も授与する。問い合わせは延暦寺(077・578・0521)。(筒井次郎)

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