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「転勤廃止」進めるNTT社長、自らも10回経験 脱・昭和の裏側は

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山本知弘
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 NTTの澤田純社長が12日、朝日新聞の単独インタビューに応じた。9月末に表明した「転勤が不要になる働き方」について「4年、5年で実現したい」とし、2025年をめどにグループの大部分でリモートワークを基本とした仕組みを整える方針を示した。全国の空きスペースをリモートワークの拠点として整備し、他社に開放する構想も明らかにした。

 リモートワークを基本とする働き方は、9月に澤田社長自身が「昭和のスタイルを変える」として発表。転勤や単身赴任についても22年度以降に「なくしていく方向だ」と述べていたが、新しい働き方の実現時期を示したのは初めて。

 澤田社長は12日のオンラインインタビューで、NTTグループの現状について、すでに国内の従業員約18万人のうち半数近くはリモートワークが基本だとし、今後はその範囲を「毎年2万人規模で広げる」と説明。これまで在宅勤務が難しかった保守部門でも、設備をカメラで監視するなどデジタル機器の活用を進めて対象を順次、拡大するとした。

 また、「東京を中心とするヒエラルキーが転勤を是としてきた。環境が変わっているから、その構造を変えるべきだという思いが強い」とし、首都圏に集中する本社機能の地方への分散も進めると語った。転勤問題は「ゼロか1かではない」としつつ、配置換えの際に転居を伴う「転勤」をするかどうかは従業員の自主的な選択を尊重し、難しい人でも働き続けられる環境を整えていくとした。

 また、自宅で仕事がしづらい従業員のために、22年度までに260以上の拠点を確保する公表済みの計画に加え、電話局舎など約2千の自社施設で「サテライト拠点をつくり、他社に使ってもらうのもありうる」との構想を語った。拠点の貸し出しをビジネスにしながら、リモートワークのさらなる普及にもつなげたい考えだ。

単身赴任は計6年、身をもって知るつらさ

 転勤や単身赴任を不要とする働き方改革に着手すると9月末に宣言したNTTの澤田純社長が朝日新聞のインタビューに応じた。平成の時代にできなかった「脱昭和」を実現する意気込みなどについて聞いた。

 ――9月末の記者会見では、転勤や単身赴任をなくしていくとの発言が大きな反響を呼びました。

 「(総務省幹部らとの)会食の件もあり、今までの仕事のルールを根っこから見直そうと幅広い施策を言ったつもりでしたが、働き方にばかり注目が集まったのは驚いています。ただ、反応の大半はポジティブで、進む方向への思いは強くしました」

 ――「脱昭和」がキーワードですか。

 「昭和の良いところは認めつ…

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