夜空眺め〝地酒フェス〟が夢 群馬の地酒の魅力伝える清水大輔さん

星井麻紀
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 「直汲(ぐ)み」「あらばしり」それとも「山廃」? 何がどう違うのか、素人には難しい日本酒。ましてや群馬の地酒は味わいの幅も広く、ファンでも迷子になりがちだ。そんな群馬の地酒のファンを増やそうと「群馬SAKETSUGU(サケツグ)」を設立して10月で2年になった。

 東京で大学院を出た後、群馬県庁に就職。群馬の地酒に出会ったのは、地域産業振興の担当者だった時だ。蔵元を訪ねて課題や要望などを聞くうちに、酒造りを極めようと挑戦を続ける彼らに魅了された。

 日本酒といえば、大量に飲んで二日酔いに苦しんだ学生時代の苦い思い出から警戒していたが、蔵元で買って帰った1本はこれまでに飲んだものとは別ものの味わい。「ころっと、地酒ファンになりました」

 2019年3月末で県庁を退職。「日本酒の日」の10月1日に開業届を出し、「群馬SAKETSUGU」をスタートした。群馬の地酒に関する情報を発信し、日本酒市場を盛り上げるのが狙い。ウェブサイト運営を中心に、地酒シーンを盛り上げるイベントの企画や運営も手がける。

 最初の年は売り上げゼロ。それでも、自主イベントのほか飲食店や大学とのコラボなど、少しずつ活動を広げていったところでコロナ禍に見舞われた。

 酒が売れず、蔵元の経営も厳しいはず。それなのに、「こんな時だからこそ、みんなでお酒を飲んで、ほっこりして欲しい」と、地域の人に酒かすや酒を配って元気づけようとする姿に胸を打たれた。考えた末、蔵元をゲストに招き、おすすめの酒を飲みながら酒造りについて語り合うオンラインの「蔵元衆飲みトーク」を企画。蔵元にも好評で、すでに50回を超える人気企画に育った。

 8月、酒の紹介に必要な免許を取得。今後は自分で選んだ酒のセット商品の開発など、新たな分野にも仕事を広げる考えだ。「全国から何千人もが群馬に集まって、山の中で夜空を見ながら蔵元と地酒で語り合う。そんなフェスがやりたいですね」。コロナ後の実現を夢見ている。(星井麻紀)

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