みずほの巨大システム、重なる戦艦大和 金融庁に20年前のトラウマ

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編集委員・堀篭俊材
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編集委員・堀篭俊材

 旧日本海軍の威信をかけた戦艦大和は、完成したときには、もう時代遅れになっていた。みずほフィナンシャルグループ(FG)が背水の陣でつくりあげた巨艦システム「MINORI(みのり)」にも同じことがいえる。

 過去2度にわたる大規模なシステム障害への教訓から、約4千億円をかけてつくられたMINORIには「35万人月」もの労力が費やされた。1人のエンジニアが丸一カ月作業する量を「1人月」という。MINORIはその35万倍の人手がかかったことになる。

 IT業界でエジプトのピラミッド建設にもなぞらえられる巨大プロジェクトは、今年に入り7回ものシステム障害を起こした。業を煮やした金融庁は、まだ検査中にもかかわらず、異例の行政処分に踏み切った。過去2回にも業務改善命令を出したが、同じ轍(てつ)を踏み続けるみずほFGには任せられないと判断したのか、当面は金融庁による監視の下でシステム運営を進めるという。

 メガバンクのシステムが一時的にせよ、国の強い監督下におかれる。箸の上げ下ろしまで行政が銀行を指導した「護送船団方式」の復活ともとられかねない。金融庁が異例の対応に乗り出したのは、約20年前のみずほのシステム障害が金融行政にとって大きなトラウマになっているからだ。

 2002年4月1日、三つの大銀行が統合し、営業を始めた記念すべき初日に1回目のシステム障害は起きた。公共料金など口座振替の遅延件数は約250万件、それに伴い約6万件の二重引き落としも発覚。復旧までに1カ月以上かかった史上最大級のシステム障害だったが、さらに傷口を広げる「舌禍事件」が起きた。

 当時国会に呼ばれた、みずほ…

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