「差されたり、まわし取られたら話にならない」大栄翔が横綱から金星

松本龍三郎

 大相撲秋場所(東京・国技館)9日目の20日、新横綱照ノ富士に土がつき、初日からの連勝が8で止まった。

 新横綱の連勝にストップをかけたのは、優勝経験者の平幕だ。「自分は本当に格下なので、思い切って横綱の胸を借りる気持ちだった。自分の力を100%、120%出すつもりでいった」。言葉通りの取り口で大栄翔が金星を手にした。

 「差されたり、まわしを取られたりしたら、話にならない」。立ち合いから照ノ富士にまわしを与えなかった。さがりをつかまれながら、頭をつけ合う体勢で動きが止まる。

 「あそこは我慢でしたね」。のどわで相手を突き起こすと、左右のハズ押しを交えて土俵際まで追い込んだ。最後は、両脇に腕を差し込んで寄り切った。

 「こういう馬力のある人は、一発があるから怖い。大栄翔を褒めるべきだよね」と八角理事長(元横綱北勝海)。本人は「最後の最後まで、勝つまで全力で力を出しただけ」と振り返った。

 幕内前半で唯一の1敗だった平幕の妙義龍が敗れ、5人が2敗で迎えた結びだった。照ノ富士が連勝を9に伸ばしていれば、後続と2差がついて独走態勢に入るところだった。

 それが、新横綱にとって初の金星配給。土俵下で見届けた伊勢ケ浜審判長(元横綱旭富士)は「いつもより気合が不足している感じがしたかな」。弟子に生じた微妙な心理の変化を推し量った。

 大栄翔が挙げた3個目の金星で、賜杯(しはい)争いの興味がつながった。(松本龍三郎)