本来の生態系を乱したり、田畑を荒らしたりして人間の暮らしにも悪影響がある侵略的外来種。国内ではアメリカザリガニやアライグマなどが代表的だ。世界の経済的損失は半世紀で140兆円に上るとの試算もあり、世界中で管理や根絶が試みられている。日本でも試行錯誤が続く。

 宮城県大崎市のため池で7月、アメリカザリガニの駆除作業があった。かつては水生昆虫や貝が大きな被害に遭ったが、地道な駆除作業によって小魚や昆虫、エビなどの群れが戻ってきた。「黒っぽいのはマメゲンゴロウ。以前に比べてかなり増えました」。地元の人たちと駆除に取り組むNPO法人「シナイモツゴ郷の会」の高橋清孝理事長が教えてくれた。

 郷の会は、ザリガニのサイズごとにワナを開発し、小中規模のため池で効果を発揮してきた。今回の池は約2万平方メートル。これほどの大規模な池でも効果が確認できれば、対策の大きな後押しになる。この日は26カ所のワナで約1500匹、約12キロを捕まえた。高橋さんは「現実的な駆除方法が確立されれば、行政も参加して取り組みやすくなる」と意気込む。

 環境省の専門家会議は8月、アメリカザリガニや縁日などから広がったアカミミガメのように、定着してしまった外来種の規制や対策の必要性を強調。何者かによる違法な放流の疑いがあるオオクチバスや、分布が広がるコクチバスについて「違反行為の撲滅が求められている」と訴えた(https://www.env.go.jp/press/109867-print.html別ウインドウで開きます)。

 例えば、宮城県栗原市のため池…

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