「植物工場」が急拡大 LEDなど技術向上 気候変動対策の切り札も

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真海喬生=ニューヨーク 江口英佑
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 LEDの光や空調を自動管理した環境で野菜や果物をつくる植物工場が転換期を迎えている。課題だった高コストも近年、安価なLEDの開発などで低下。品質のよさや気候変動対策への意識の高まりから消費者の支持を集める。新型コロナウイルス感染拡大による巣ごもり需要も後押しし、市場の急拡大が見込まれている。(真海喬生=ニューヨーク、江口英佑)

しんかい・たかお 1984年生まれ。経済部などを経てニューヨーク支局員。米国経済を担当。最近は米国の起業文化に関心

 米国で生活していると、つい野菜不足になりがちだ。日本で一般的な白菜や大根は手に入りにくく、時折調理法に困ってしまう見慣れない野菜と格闘している。代わりに救世主となってくれるのが、「3回洗浄」と書かれた袋詰めの生野菜。洗わずそのまま食べられる手軽さがありがたい。

 ある日、ニューヨークのスーパーで生野菜を選んでいると、「屋内栽培」などと書かれた透明なプラスチックケースに入った野菜が目についた。植物工場で作られたものだ。価格は4ドル(約440円)ほど。レタスなど葉物野菜を中心に複数メーカーの7~8種類ほどがならぶ。通常のものより50セント高く、量も少なめだ。レタスをカゴに入れた教育コンサルタントのサラ・モーワさん(47)は「この値段なら、地元の植物工場で作られた野菜を買うようにしている。環境にいいし、新鮮だから」。生野菜売り場のうち植物工場の野菜が3割近くを占める。メーカーを取材してみることにした。

 米北東部が記録的な豪雨に見舞われた翌日の9月2日、ニュージャージー州の植物工場を訪ねた。周辺はところどころ道路が冠水し、水没した車を引き上げるクレーン車の姿も。工場や作物は大丈夫なのか。一抹の不安を抱えながら現場に着いた。

 「工場はなんの影響も受けて…

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