栄一の慶喜待ち伏せ拝謁、あり得たか 歴史学者が見た「青天を衝け」

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構成・上田真由美
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 NHKの大河ドラマ「青天を衝(つ)け」(NHK総合、日曜夜8時)は、東京パラリンピック期間中の中断を経て、12日に再開する。渋沢栄一の生涯を通して、幕末から近代化していく日本を描くドラマの舞台はいよいよ本格的に明治に。小学生のころから50作近い大河ドラマを見てきたという明治維新史に詳しい町田明広・神田外語大学准教授(59)はどう見ているのか、尋ねた。

 大河ドラマは1963年の「花の生涯」から始まり、再来年の徳川家康までテーマが公表されています。この計62作のうち、幕末を描いたのは「青天を衝け」を含めて15作品で、およそ4本に1本にあたります。司馬遼太郎原作で西郷隆盛大久保利通の友情と対立を描いた「翔ぶが如く」(90年)、「龍馬伝」(2010年)、吉田松陰の妹が主人公の「花燃ゆ」(15年)、「西郷(せご)どん」(18年)など維新をおこした薩摩や長州、土佐側から描いた作品が目立ち、負けた側からみた幕末史は「勝海舟」(1974年)や「徳川慶喜」(98年)と少ない印象です。

 今回、渋沢栄一という人物を通して、幕府の中にいた人物から描いたことは新鮮でした。しかも、徳川慶喜を準主役のように位置づけ、渋沢の地元の血洗島の人たちも巻き込みながら、優れた青春群像になっています。

 何よりよかったのは、きめ細かい時代考証に基づき、史実を丁寧に扱っていることです。もちろんドラマはフィクションですが、史実をベースにしたフィクションなのか、フィクションの上にフィクションを重ねるのかには大きな違いがあります。事実は小説より奇なりというように、史実ほど劇的で物語性に富んでいるものはありません。

 記事の後半では、研究者として感じる大河ドラマの「功罪」について語ります。

 たとえば、ドラマで印象的に…

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