再開発で「史跡」級遺跡危うく…大臣も感じたぎりぎりの文化財行政

有料記事

聞き手・神宮桃子
[PR]

 約150年前に日本で初めて鉄道が開業した際、一部の区間で海の上に堤を築いて鉄道を走らせた「高輪(たかなわ)築堤(ちくてい)」が東京都心で出土し、一部の遺構が国史跡になることが決まった。ただ当初は一帯で再開発を手掛けるJR東日本が現地保存に難色を示し、萩生田光一文部科学相が強く働きかけるなどして現地保存にこぎ着けた。「(自分が動かなければ)スルーされたかも」。保存にこだわった強い思いや、一連の対応を通じて感じた文化財行政の課題を、萩生田文科相が朝日新聞のインタビューに語った。

「残すべきじゃないかという思いが、ふつふつと」

     ◇

 ――高輪築堤の存在を知ったきっかけは?

 「2020年末、東京都港区の区議会の皆さんから相談されたのがきっかけです。高輪ゲートウェイの駅前再開発も大事だけど、非常に歴史的価値のある遺跡が出てきて、港区としては一生懸命取り組んでいるけどなかなかJR東日本に聞き入れてもらえないと。それで私も興味を持って、これはどうなっているんだろうなと」

 ――存在を知ってどう思いましたか?

 「最初はハードの遺構の部分より築堤ができた歴史的経緯に興味を持ちました。軍備を強化すべきだという西郷隆盛に対し、大隈重信たちは都市化を目指すなら鉄道が必要だと。こういう意見の違いの中で、あの地域に薩摩と当時の兵部省が偶然土地を持っていた。鉄道を走らせるのはいいけど、敷地は譲れないから海の上を走れ、というやりとりから築堤を造ったという経緯を聞いて、すげえ面白いなと。総論賛成、各論反対みたいなね。150年たっても、政治はいつも変わらないんだという方に興味を抱いたんですね」

 「築堤や鉄道の整備はイギリ…

この記事は有料記事です。残り4311文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら