5度目の障害、システム専門家が指摘する「スキル不足」

聞き手・稲垣千駿

 みずほフィナンシャルグループ(FG)がシステム障害を繰り返している。なぜ3メガバンクの一角でトラブルが続くのか。メガバンクのシステム部門に長年在籍した、静岡大学情報学部の遠藤正之教授(金融情報システム)に聞いた。

 ――みずほ銀行みずほ信託銀行で20日午前、全国の店舗窓口で取引ができなくなりました。システムの機器故障が原因ですが、今回の問題をどうみていますか。

 「情報周知の早さや営業店での顧客対応はしっかりしていたと思う。記者会見を聞く限りでは、かなり複雑な壊れ方をしたようだ。代替機も使えなかったようなので、全く新しいものを持ってきて接続して動かすのに時間がかかったのではないか。不運が重なった印象だ」

 ――障害は防げなかったのでしょうか。

 「代替機がダメだったときの対応まで議論を広げておけば、よかった。また、故障発生後に最悪のケースを考え、代替機とは別の機器をすぐに用意するなど、翌日の業務開始を意識して動いていれば、もっと早く対応できたかもしれない。リスクとなる部分の回復がベンダー(業者)依存になっている可能性があり、その解消が今回の教訓ではないか」

 ――みずほの現在の新システム「MINORI(ミノリ)」は2019年に稼働しました。最新鋭のシステムで、その後になぜ障害が相次いでいると思いますか。

 「(2月末から続いた障害の)報告書が指摘した通り、新システムの稼働後に、各システムに精通した担当者を減らしてしまい、障害発生時に速やかに対応するスキルが不十分なのかもしれない。ベンダーもシステム稼働後に担当が変わることがあり、開発子会社なども含めて障害に対応する能力が弱くなっている恐れがある。対応力を高める対策が必要ではないか」

 ――ミノリは以前あった三つのシステムを統合しています。この影響はどのようにみていますか。

 「三つを一つにした複雑さがシステムの中に残っていて、各システムの開発担当者が全体を見渡しにくい可能性もある。また、システムは細かく開発担当者が分かれている。自分の担当以外への関心が薄れるため、ほかで問題が起きるとお手上げになるところがある。ミノリに関しても全体を見られるように検証し、各システムの関係性やミノリの構造を学ぶ場をつくることが必要だと思う」(聞き手・稲垣千駿)

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 えんどう・まさゆき 1983年に三菱銀行(現三菱UFJ銀行)に入行し、32年半にわたり勤務。その間、システム部に16年在籍し、三菱東京UFJ銀行のシステム統合などに携わる。2017年4月から現職。著書に「金融情報システムのリスクマネジメント」(日科技連出版社)。