中国人刺した夜、鬼になった 罪滅ぼしに体験語る

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構成=編集委員・石橋英昭
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 宮城県白石市の遠藤明さん(96)は、中学校の国語教師だった。戦争中に中国で自分がやったことは、生徒や家族には絶対に知られたくないと、長い間思ってきたという。

 私は1944年、19歳で仙台の旧陸軍東部22部隊に入隊しました。博多から船に乗り、大陸を走って、着いたのは中国山西省。占領地域の守備と、態勢の劣る八路軍(共産軍)の掃討が任務でした。

 最初の4カ月は初年兵教育。これがつらかった。何かというと班長のビンタをくらう。軍靴ではたかれ、顔中血だらけになったこともありました。

目をつぶったまま「やーっ」と叫び、前へ駆けた

 春のある晩、教官が「きょうは夜間演習だ」と言いました。初年兵だけ40人余りが、畑の中を200メートルほど歩かされた。柳の木に、50歳過ぎの中国人の男が縛り付けられていました。この男の心臓めがけて、一人ずつ銃剣で刺せ、と言うのです。

 最初の兵は胸に届かず、やり…

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