台風接近、2年前の教訓忘れるな 長野で防災キャンプ

遠藤和希
[PR]

 台風シーズンを前に、一昨年の東日本台風で被災した長野市内の2地区で、教訓を共有したり、避難所以外での避難生活を体験したりする催しがあった。

 千曲川の決壊により被災した長沼地区の妙笑寺では6日、同寺の笹井妙音さんが、子どもら約30人に被災時の状況を語った。地区の被災者らでつくるボランティア団体「HEARTY DECO(ハーティーデコ)」が主催した。

 決壊した堤防近くにある寺には高さ2メートル超の水が流れ込み、1階が水没した。笹井さんは2階に逃げ、屋根の上からヘリコプターで救出された状況を説明。「流れ込む水は渦をまいていて今でも目に焼き付いている」と語った。埼玉県からボランティアで地区を訪れる新藤歌愛さん(11)は「災害はいつ何時あるかわからない。普段から備えなきゃと思った」と話した。

 豊野地区では9日、避難所以外での避難生活も想定した「防災×キャンプ 避難所体験会」が豊野公民館であり、約100人が参加した。「テントを張るのが大変だった」「おいしい非常食が食べたかった」など災害時の声をもとに住民自治協議会などが企画した。

 同地区は東は千曲川からの濁流、西は浅川の越水により広域で浸水被害があった。女性部会長の宮崎淑子さん(81)の自宅も約2・6メートルの浸水で全壊した。前日に近くの小学校に避難したが、避難所では寒さへの不安などがあった。避難生活が長引く中で、非常食が続き、何か工夫できないかとも感じたという。

 この日の催しでは、参加者がカセットコンロで米をおいしく炊く方法を学んだり、公民館近くの空き地にテントを設置したりした。宮崎さんは「キャンプ用のテントなら避難所がいっぱいでも自宅近くで広げられる。地域の高齢化が進む中、テントを張る体験をしておくことも備えになる」と話した。(遠藤和希)

有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。

【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら