スーパーの床に落ちたカボチャの天ぷらで足をすべらせひざを打撲したとして、利用客の男性が店側に約120万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決が4日、東京高裁であった。平田豊裁判長は「店側に特段の措置をとる法的義務があったとは認められない」と指摘し、一審・東京地裁判決のうち店側の敗訴部分を取り消し、男性の請求を棄却した。

 昨年12月の一審判決は、店内の転倒事故の約2割が野菜くずなど落下物が原因とする消費者庁の調査をふまえ、「事故は異例ではない。総菜を床に落とすことは容易に予想できた」と店の賠償責任を認めた。

 これに対し高裁判決は、総菜売り場は落下物が多い可能性があるものの、レジ付近通路に商品が落ちるのは「通常想定しがたい」と言及。さらにレジ付近の通路は見通しがよく、「混んでいても客が落下物を避けることは困難ではない」と結論付けた。(新屋絵理)