知事会「数値を具体的に示して」 入院制限の政府方針に

菊地直己 森治文 松山紫乃
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 新型コロナウイルスの感染者が急増する地域で入院を制限する政府の新方針をめぐり、全国知事会飯泉嘉門会長(徳島県知事)は3日、田村憲久厚生労働相とのオンライン会議で、患者の入院基準について「客観的な数値を具体的に示してほしい」と要請した。

 会議の冒頭、田村氏は「感染状況を注視しながら、それぞれの自治体で適切な判断をお願いしたい」と述べた。飯泉氏は、感染急増地域かどうかについても基準を示すよう求めた上で「適用について、それぞれの知事が地域の実情に応じる形で弾力的に対応できる、こうした点を申し上げたい」と語った。

 知事会で新型コロナ緊急対策本部長代行を務める平井伸治鳥取県知事は終了後、記者団に「医療が逼迫(ひっぱく)する恐れがある緊急時のオプション(選択肢)と理解した。病床確保など適切な医療が提供できる地域はそのままでよいという話なので、了とした」と述べた。平井氏によると、田村氏は入院基準の数値には触れなかったが、人工呼吸器装着の必要性や基礎疾患があることなどを例示したという。

 新方針は、政府が2日の関係閣僚会議で打ち出した。感染急増地域での入院を、重症患者や重症化リスクの高い患者に限定。これまで入院と判断された中等症と軽症の患者は、リスクが低い場合は原則自宅療養とするよう都道府県に求めている。病床逼迫を防ぐ狙いがあるが、重症化リスクの見極めや自宅での医師の往診、健康観察の体制拡充が課題になっている。

 一方、菅義偉首相は3日、日本医師会の中川俊男会長ら医療関係者と会談した。首相は、「往診やオンライン診療などで患者の状況を把握し、適切な医療を提供していただくようお願いする」と協力を求めた。

 首相は「中等症で酸素投与の必要な方、糖尿病などの疾患をお持ちの方には確実に入院していただき、それ以外でも症状が悪くなった場合は必ずすぐに入院できる体制を整備する」と強調した。中川氏は「自宅療養への対応に重点を置いた体制整備をすでに進めており、さらに強化していく」と述べた。

 新方針への批判も出ている。愛知県大村秀章知事は3日の会見で「重大な転換。首都圏が医療崩壊に近づいていることを国自らが認めたような話で、事態は相当深刻では」と語った。新たな入院方針については「想定していない。中等症以上の人には入院して医療を受けて頂くことが必要だ」と述べ、従来の態勢を維持する考えを示した。(菊地直己、森治文、松山紫乃)

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