「こいつらのうちのだれかに気づいたら、排除せよ アンティファ、BLM、悪魔の民主党 >こいつらは1月6日にトランプ支持者を殺そうとしている >これは戦争だ: こいつらは戦争を宣言した」(1月4日、ツイッター)
「倉庫の中には、いつも数百丁の銃が寂しそうにほこりをかぶっている。1月6日の前に、これらの銃のうち1丁を持ってくることを忘れるな。独立記念日だ」(1月3日、ツイッター)
「我々は力を見せるように求められている。とにかく銃をもってきやがれ。これが最も重要だ」(1月3日、動画SNS「TikTok」)
「だれを最初に『処刑』したいか? ①ナンシー・ペロシ(下院議長)②ジョン・ロバーツ(連邦最高裁長官)③ペンス(副大統領)④その他 私はナンシーが良いかなと思っている。でもペンスにするかもしれない」(1月4日、SNS「パーラー」)
「いまこそ戦争の時だ。これ以上対話は必要ない。平和は必要ない」(同)
米大統領のトランプが参加を呼びかけた1月6日の首都ワシントンでの「不正選挙」への抗議集会が近づくにつれ、インターネット上には不穏な書き込みが急増していた。
今年1月6日、数千人のトランプ氏の支持者たちが暴徒と化して米議会議事堂を襲撃した歴史的事件の背景に迫る連載です。事件前、ネット上に過激なメッセージを書き込んだのはどんな人たちだったのでしょうか。
トランプが抗議集会に初めて言及したのは、昨年12月19日のことだった。
こうツイートした。
「1月6日にワシントンで大規模な抗議集会がある。ここに集まれ、そして激しくいけ(be wild)!」
抗議集会を主催したのは、「アメリカ・ファーストのための女性たち」というトランプ支持団体だ。
もともとはバイデンが正式に大統領に就任したのちの1月22日と23日に予定されていたが、トランプは1月6日の開催へと大幅に前倒しした。
同日には、ワシントンの連邦議会議事堂で、大統領選の選挙結果を確定させる上下両院合同会議が予定されていた。各州ですでに確定している選挙結果を、今度は全米レベルで確定させ、バイデンを正式に大統領選の勝利者として認める手続きである。この日に大規模抗議集会をぶつけたのだ。
トランプは自身が敗北した大統領選の結果を「大規模な不正が起きた」として受け入れようとせず、各州で訴訟を乱発したが、敗訴が相次いだ。さらに、今回の連載の前編である「トランプの反乱 再選への策謀」でも詳述したが、地元の共和党関係者に働きかけ、選挙結果のくつがえしを図った。だが、これもことごとく失敗し、各州は期限である昨年12月14日までに選挙結果を確定させた。
トランプに残された最後の手段は、自身に忠実な副大統領のペンスが議長役を務める上下両院合同会議での選挙結果の確定を食い止めることだった。そうすれば、元米大統領首席戦略官のバノンが昨年9月に披露した、合衆国憲法修正第12条の規定を使った下院議員たちによるトランプの大統領選出が現実のものとなるわけである。
トランプは9千万人近いフォロワーをもつ自身のツイッターで、「不正選挙」を執拗(しつよう)に主張し、1月6日の抗議集会の開催を繰り返し念押しした。
「司法省とFBIは、2020年大統領選の不正について膨大な証拠があるにもかかわらず、我が国史上最大の詐欺について一切何もしない。あきらめてはいけない。1月6日にワシントンでみんなに会おう」(20年12月26日)
「ワシントンで会おう!」(同30日)
「ワシントンでの大規模抗議集会は、午前11時から行われる。場所は追って連絡する。選挙を盗むな!」(21年1月1日)
抗議集会の主催団体「アメリカ・ファーストのための女性たち」の代表がツイッターに「騎兵隊がやってきます、大統領閣下」と書き込むと、トランプは「とても光栄だ!」とリツイートした。
トランプには、抗議集会を1月6日の上下両院合同会議にぶつけることで、会議に参加する議員たちが選挙結果を確定しないように圧力をかける思惑があったのは明らかだ。
ネット上で盛り上がり始めたトランプ氏の支持者たち。1月6日の両院合同会議を前に不穏な空気が漂い始めます…そんな動きを捜査機関などはどう見ていたのでしょうか。記事後半で明らかになります。
しかし、上下両院合同会議の…
【お得なキャンペーン中】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら