大久保貴裕
赤羽一嘉国土交通相は17日、一部区間で利用低迷が続くJR芸備線(広島市~岡山県新見市)について、「安易に廃線なんていうことはしないでくれ」と述べた。近く沿線自治体との協議を本格化させるJR西日本に対し、クギを刺した形だ。大雨による被災現場の視察に訪れた広島県三原市内で、記者団の取材に答えた。
赤羽氏は、芸備線が地域住民の生活の足となっていることに加え、「将来的に(利用客数が)復活する可能性も追求して地方創生をやっている」と指摘。JR西幹部のこれまでの発言が心配や誤解を招いているとの苦言も呈し、「関係自治体としっかりと丁寧な話し合いをしながら、地元の意に沿うような形で結論を見いだして頂きたい」と求めた。
JR西の長谷川一明社長は今年2月、「ローカル線の維持は非常に難しくなっている」と発言。同社は採算の悪いローカル線の見直しを進めており、2018年には広島県と島根県を結ぶ三江線(108キロ)を廃止した経緯がある。
芸備線は、広島駅と備中神代駅を結ぶローカル線。競合する高速道路の整備の影響などから利用低迷が目立ち、1日の乗車人員が1桁の駅もある。JR西と一部の沿線自治体は近く、新たな検討組織で芸備線のあり方の議論を行う方針だ。
赤羽氏はまた、全国の赤字路線の将来像について、「少子高齢化、人口減少の中でどう維持するか。鉄道会社にすべて任せて良いのか。根本的な議論もしなくてはならない」と語った。(大久保貴裕)