「高級衣料品は生活必需品ではない」。緊急事態宣言にともなう休業要請をめぐり、東京都の小池百合子知事は百貨店側にこう念押しして売り場を閉めるよう求め、百貨店は「高級品」の線引きをめぐって大混乱した。

 こうしたなか、婦人服ブランド「サポートサーフェス」を手がけるファッションデザイナーの研壁(すりかべ)宣男(のりお)さんは、顧客らに送った新作カタログに、こんな言葉をつづった手紙を同封した。

 「東京の知事の発言には驚きました。私たちが製造しているのは、そのいわゆる高級衣料品に該当するものと思われます。『不要不急の仕事』に従事していることに誇りを感じています」。デザイナーに思いを聞いた。

すりかべ・のりお 1966年、岐阜県出身。桑沢デザイン研究所を卒業し、89年にイタリアに渡る。ロメオ・ジリなどを経て、99年から自身のブランドサポートサーフェスをスタート。2006年から東京コレクションに参加している。

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 生活必需品じゃないと言われたときは、おかしいと思いましたし、文化を否定されているような気がしました。私のブランドは卸をやっており、デパートや大規模な商業施設には取引先があります。休業要請により、ゴールデンウィークや季節の変わり目の大切な時期に衣料品売り場を開けられなかったことで、いろんなショップ、ブランドがダメージを受けているなか、ニュースで小池百合子都知事の会見を見ました。

 目的は人出の抑制だそうですが、そもそも高級品ってそんなに頻繁に買いに行くものではないですよね。デパートの食品売り場は人がたくさんいて「密」ですし、話の筋が通っていません。まるで戦時中の「欲しがりません勝つまでは」のようです。

 サポートサーフェスの服は「メ…

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