64歳以下のワクチン接種、市町村で分かれる対応

松田果穂 星井麻紀
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 64歳以下を対象とした新型コロナウイルスのワクチン接種の準備が、群馬県内の市町村でも急ピッチで進められている。そうした中、県営の接種センターなど大規模会場で接種を希望する人に対し、市町村が先行して接種券を配る動きが出ている。市町村ごとに対応は分かれるが、問い合わせが殺到して、対応に苦慮する自治体もある。

 朝日新聞が調べたところ、24日現在、21市町村が64歳以下への接種券の発送を終えていなかった。ところが、ほとんどの自治体はGメッセ群馬(高崎市)の県央ワクチン接種センターなど大規模接種会場で接種を希望する人に対し、個別に申請を受け付け、接種券を発送していた。

 28日に接種券の発送を始める前橋市は25日まで個別申請を受け付けている。市のホームぺージから申請書をダウンロードし、提出する。担当者は「ワクチンをなるべく早く広く行き渡らせるためにも希望する人には早く打ってもらうべきと考えた」と説明するが、先行配布について積極的に広報はしていない。

 伊勢崎市では7月10日前後から発送を始める予定だが、5月下旬に県央ワクチン接種センターが開設されると、「早く接種を受けたい」という問い合わせが殺到した。このため、6月21日から個別の受け付けを始め、これまでに数百の申し込みがあったという。

 担当者は「通常業務に支障が出るほど電話が鳴りっぱなしだった。地理的に高崎から遠くないことも影響しているかもしれない」。

 東毛ワクチン接種センターがある太田市も個別申請を受け付けているが、担当者は「イレギュラーな対応なので積極的に公表はしていない」と話す。

 館林市は19日から、専用のサイトで先行配布を受け付けている。23日昼までに550件近い申し込みがあったという。担当者は「接種券の束の中から、基礎疾患のある人と先行接種の申し込み分を抜き取って発送する作業が大変。急な対応で広報も間に合わなかった」と漏らした。

 ある自治体では接種券の個別申請を受け付けるが、60歳以下への発送スケジュールが立てられずにいる。国のワクチン供給の速度が鈍っているためで担当者は「不安を感じている」。

 接種機会の公平性を保つため、玉村町では先行配布に応じていない。町民への周知が間に合わなかったためだ。担当者は「完全に周知できていない状態では、知っている人だけが早く接種できる『抜け駆け』になる。一日も早くすべての人に接種券を送りたい」。安中市は問い合わせが少なく、先行配布の対応は必要なかったという。

 23日現在の県内の高齢者のワクチン接種率は、1回目が55・79%、2回目が16・92%。山本一太知事は同日現在の病床使用率が10・2%と低い水準になったことなどについて「安堵(あんど)はしているが油断はしていない。接種の加速感は予定より早いが、より接種を進めるため、市町村と相談を重ねたい」と話した。(松田果穂、星井麻紀)

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