血液でアルツハイマー察知、島津が機器販売 世界初

野中良祐
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 島津製作所京都市)は22日、血液数滴からアルツハイマー病に関連する物質を調べられる検査機器の販売を始めると発表した。2002年にノーベル化学賞を受けた、島津の田中耕一エグゼクティブ・リサーチフェローが開発した技術を応用した。

 アルツハイマー病は、認知症の半数以上を占めるとされ、脳内に「アミロイドβ(ベータ)」と呼ばれるたんぱく質がたまる特徴がある。

 脳内のアミロイドβを測定すれば診断や重症度の判断に有用だ。放射線を用いるPET(陽電子放射断層撮影法)や、腰の部分から針を刺して脳脊髄(せきずい)液を採取する方法があるが、体への負担が大きいことが課題だった。

 今回の機器は、田中氏が開発した、多種類の物質を同時に測れる質量分析という手法を応用した。さまざまな物質が含まれる血液中にわずかに存在するアミロイドβの成分を検出できる。20年12月に医療機器の承認を取得した。

 島津と国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)との共同研究で、この成分の量が、PETで測る脳内のアミロイドβの量と相関があることが判明。体への負担が小さい血液採取だけで、アミロイドβの量の推計が可能になるとしている。

 計測技術の研究開発の進歩を受け、日本認知症学会などが監修し、今年3月に公表した「認知症に関する脳脊髄液・血液バイオマーカーの適正使用指針」では、今回、島津が発表した機器による測定結果について「補助的な情報のひとつとして用いるべきである」としている。

 田中氏は「血液中のアルツハイマー病のバイオマーカー(指標)を測る世界初の機器。一方で認知症はまだ、全体の一部しかわかっていない病気で、私たちも改良を重ね、解決に貢献していきたい」と話した。野中良祐

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