世界遺産高山社跡の石垣修復完了 藤岡市の世界遺産

角津栄一
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 群馬県藤岡市に残る世界文化遺産「高山社跡」の石垣修復工事が終わり、公開された。工事に伴う調査で、江戸期に築造後、水害で積み増しされた経緯などが新たに判明した。

 市によると、高山社跡は「養蚕改良高山社」の創始者の高山長五郎(1830~86)の生家。養蚕法「清温育」の研究が行われた。世界遺産富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産の一つで国指定史跡。

 石垣は敷地を囲むように築かれている。修復された石垣は長屋門近くで、長さ約17メートル、高さ約3メートルの範囲。石が張り出して30センチ以上膨らんだような状態となり、2018年度に修復工事が始まった。

 修復箇所は大きさが異なる石が積まれていたため、他の部分に比べて強度が低い状態だった。水害などで石垣が崩壊し、急いで復旧したため石が不ぞろいだったと見られている。今回の調査で、1910年の水害の際に実施されたとみられる大規模な修復工事の痕跡が確認されたという。

 石垣の張り出しの原因については、敷地内の雨水が石垣に流れ込み、徐々に石垣を裏側から押し出す力が働いたと考えられている。今回の修復では石垣に水が流れ込まないように防止措置が施された。

 市は今年度から、母屋兼蚕室の修復工事に着手する。建物を解体後、発掘調査などに約7年間かかる見通し。(角津栄一)

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