仏電力「中国原発で放射性希ガス放出」 事故は否定

パリ=疋田多揚
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 フランス電力公社(EDF)は14日、同社が建設に携わった中国・広東省の台山原子力発電所で、原子炉内の放射性希ガス濃度が上昇し、大気放出したことを明らかにした。AFP通信などが報じた。

 同社は放出は中国の安全基準に沿って行われたといい、「炉心溶融などの事故は起きていない」としているという。仏メディアは燃料棒の一部が破損している可能性を伝えている。

 仏紙フィガロなどによると、汚染濃度は5月末の時点で、フランスの基準で48時間以内の運転停止が必要とされる値の2倍に達していた。EDFは今月12日、中国の原発運営会社から関連データを受け取り、緊急会議を招集するよう中国側に要求。EDFは原発の運転を停止するかについて明言していないという。

 国際原子力機関(IAEA)は「現時点では、放射能事故が起きたと示す兆候はない」との見解を示しているという。

 米CNNは14日、燃料棒を製造したEDFの子会社が今月8日、中国当局が原発の運転停止を避けるため、原発周辺の放射線量の許容値を引き上げたとする文書を米エネルギー省に送ったと報じていた。(パリ=疋田多揚)

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    古谷浩一
    (朝日新聞論説委員=中国政治、日中)
    2021年6月15日13時6分 投稿
    【視点】

    不安を煽るつもりはないが、中国の原発の不透明さをめぐっては、「2008年の四川大地震でも東日本大震災の福島と似たような状況があった」と中国の原発政策を担当する高官が2017年になってから明らかにし、物議を醸したことがあった。詳細はいまにいた

    …続きを読む