児相会見「関係性を築けていなかった」

星井麻紀
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 前橋市富士見町小暮の住宅で小学生の男児2人が胸を刺されて死亡した事件。母親(38)が14日、殺人の疑いで群馬県警に逮捕された。母親は心身不調で子育てが難しいと児童相談所に相談していた。母親逮捕の連絡を受け、県と県中央児童相談所は14日夕、緊急会見を開いた。

 県によると、母親は栃木県内に住んでいた2018年、心身の不調で子どもの養育が困難だとして同県中央児童相談所に相談。死亡した兄弟は栃木県内の児童養護施設に入所した。

 その後、母親は知人の男性を頼って前橋市内に転居した。生活が安定したとして、子どもの引き取りを希望し、昨年10月に子どもたちも前橋市に移った。

 同11月には栃木、群馬両県の中央児相が前橋市と一緒に家庭訪問をするなどして引き継ぎ、同12月からは群馬県中央児相がこの家庭を担当していた。

 中央児相は昨年12月と今年3月にも、それぞれ1回ずつ家庭訪問していた。新型コロナウイルスの感染を気にして、母親が児相職員の訪問を歓迎しなかったため、電話での状況確認を月に2回程度、これまでに計12回実施していた。職員が兄弟と話すこともあった。

 母親からの相談内容は「子どもがトイレに行った後に手を洗わない」「兄弟げんかをする」など。電話の様子からは同居男性と共に4人で仲良く暮らしていることが伝わってきた。市役所や学校も、暮らしぶりに異変を感じるようなことはなかったという。

 8日朝、母親から児相担当者に電話があり、近況を報告していた。担当者は改めて子どもたちから状況を聞きたいと、10日夕に電話をする約束をしていたが、その直前に事件が起きた。

 県中央児相は近く、家族に対する指導を終了する予定だったという。同児相の富田昌志所長は「実質的に母親の悩みを把握しきれず、関係性を築けなかった」と話した。(星井麻紀)

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