コロナ禍で増える子どもの不調 不適応、見逃さないで

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高浜行人 三島あずさ
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 緊急事態宣言の延長により、学校生活でも厳しい制限が続くなか、一部の小中学校で保健室登校や休みがちな子が増えている。1年以上続くコロナ禍でストレスを発散できず、大人にも相談しにくい――。そんな調査結果もあり、養護教諭らは危機感を強めている。

 「保健室に来る生徒が途切れず、驚いています」

 関東地方の公立中学校の養護教諭は、そう話す。5月の大型連休明け以降、朝の始業直後から1日に10人以上が「気持ち悪い」「おなかが痛い」などと相次いで訪ねてくる。この時期としては異例だ。

 生徒数は300人に満たないが、遅刻や早退を繰り返したり、欠席が続いたりする生徒は、以前からの不登校を含め20人近く。「例年より多いと感じる」

 保健室に来る子の中には「朝までゲームをやっていて寝ていない」と打ち明ける子も。連休中、外に出られずゲームやインターネットに没頭し、コントロールできなくなったとみられる。生活の乱れのほかにも、「自分に自信が持てない」という相談や、持久走で体調を崩す子が多いことも気にかかる。「長いコロナ生活が子どもの心身に影響している。自ら健康について考えていけるよう指導し、支援を続けていきたい」

 500人弱が通う東京都内の公立小学校でも、保健室登校や休みがちな子が合わせて20人弱に上る。例年は数人程度といい、養護教諭(30)は「昨年の一斉休校の影響がまだ残っている」。昨年の3月からほぼ3カ月に及んだ休校の際、教員が家庭に電話するなどして児童の状況を把握しようとしたが、細かい様子まではつかめなかった。家庭内の不和や精神面の悪化にすぐに対応できず、不登校につながったケースがあった。

 さらに、修学旅行などの行事が昨年、軒並み中止になり、こうした児童の気持ちや人間関係が好転するきっかけが失われたとみる。今年も4月に東京都に緊急事態宣言が出て、5月の運動会や6~7月の修学旅行などがすべて延期になった。「教員も、児童に働きかけるきっかけがなくなった。このままでは、学校には行くだけの魅力がないと思われても仕方がない」

 東京都内の区立中の50代男性教員は「食が細くなっている子が増えた」と話す。給食を「減らしてほしい」と戻しに来る子がクラスに数人ずついる。大会を控えているため、特例で部活動をしていても、食が細っている生徒もいる。「運動不足のせいというよりは、コロナのストレスなのか、食欲がわかないようだ」と案じる。頭痛や気分の悪さを訴えて、週1日ほど学校を休む生徒が増えていることも気がかりだ。

 一方、「マスクや手洗いの徹底で、以前より体調を崩す生徒が減った」(埼玉県の公立中養護教諭)、「感染への緊張感が比較的高くないからか、多くの子が元気そうに見える」(新潟県の公立小養護教諭)といった声もあり、学校や地域によって事情は異なるようだ。

 都内の国立大付属中の塚越潤…

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    増谷文生
    (朝日新聞論説委員=教育)
    2021年6月10日21時52分 投稿
    【提案】

    様々ながまんを強いられるコロナ禍は、やはり子どもの心身に悪影響を及ぼしているようです。同時に心配なのが、先生の体調です。もともと多忙なところに感染対策が重なり、授業や行事を予定通り進められないストレスも抱えています。先生自身が上手にストレス

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    宮坂麻子
    (朝日新聞編集委員=教育、子ども)
    2021年6月11日0時6分 投稿
    【視点】

    コロナ禍になって、学校現場を取材できる機会が大きく減った。それでも、各地の学校を訪ねると、教師たちから「コロナになってから不安定な子が目立つ」という声を聞く。緊急事態宣言が出されている都市部では、保護者が在宅勤務になり、家族で家にいる時間も

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