政府肝いりが一変、ガラガラの大規模接種 高齢者の事情

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 政府が東京と大阪に設置した新型コロナウイルスワクチンの「自衛隊大規模接種センター」の予約が低調だ。自治体が独自で設置した会場でも接種人数が想定を大幅に下回ったところも。背景には、「近さ」を選ぶ高齢者の心理もありそうだ。

 自衛隊大規模接種センターの東京会場となっている大手町合同庁舎3号館(千代田区)。9日朝から、続々と高齢者が入っていく。

 東京都多摩市の星野和夫さん(73)は「とにかく早くワクチン接種を受けたいと思って来たが、本当は地元で受けたかった」。先月下旬、市の予約開始日に電話したが、なかなかつながらない。つながった際にはいっぱいに。知人から助言され、センターで予約した。

 政府肝いりの大規模接種センターだったが、現時点の予約は低調だ。防衛省によると、14~27日の接種分の予約状況(9日午後5時現在)は、東京会場(予約枠14万件)で約8割の約11万7千件、大阪会場(同7万件)は約7割の約5万1千件が空いているという。防衛省は予約が埋まらない状況が続いた場合に備え、接種対象者の追加も検討中だ。「高齢者の次」としていた基礎疾患のある人や、高齢者施設で働く人らを想定しているという。

広島、1日1800人態勢なのに来場88人

 自治体が独自に設けた大規模接種会場でも空きが出るところも。宮城県では、1日最大約2300人が接種できる会場が5月24日に開設された。直後は仙台市の高齢者のみを対象にしたが、6月に入ると空きが目立つように。特別支援学校の教職員や看護学生らに対象を広げることにした。13日からは、石巻市など17市町居住の高齢者に対象を広げるという。

 想定を大幅に下回った会場もある。

 広島県福山市(人口約46万人)に7日に開設した大規模接種会場。80歳以上の福山市民と周辺2市町の65歳以上を対象に、1日1800人に接種する態勢を整えた。しかし初日に訪れたのは88人。2日目も30人にとどまり、市を通じて集めた介護従事者ら170人に接種した。湯崎英彦知事は「こんなに低調なのは予想外」という。

 福山市ではこの大規模接種会場の開設翌日の8日から、170カ所以上の医療機関で65歳以上の個別接種がスタート。高齢者からは「人が集まる遠方の大規模会場に行きたくない」「近所の病院で打ちたい」などの声が上がっている。

接種本格化、近さを重視へ

 接種のペースは上昇傾向だ。本来の市区町村単位での接種が本格化する中、近さを重視するようになった傾向がうかがえる。

 東京都東村山市の女性(71…

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