世界初のつぶやきに3億円 過熱する新電子取引NFT

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山下裕志 渡辺淳基
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 ツイッターの投稿が3億円超、画面上の美術作品が約75億円……。複製が容易なはずのデジタルアートや電子映像が、破格の高値で取引されている。それを可能にしたのが、「正真正銘の購入者」を示すデジタル証明書のNFT(エヌエフティー)。お金に結びつきにくかったデジタル作品に新たな収益機会が生まれ、関係者は沸いている。一方で、新技術だけに課題も多く、価格高騰のバブルを危ぶむ見方もある。

 「just setting up my twttr」(ツイッターを設定しているところだ)

 このつぶやきが3月、3億円超(290万ドル)で落札された。15年前の2006年3月、ツイッターの共同創業者兼CEO(最高経営責任者)のジャック・ドーシー氏が世界で初めて投稿したツイート。今もネット上で簡単に見られるものだが、落札者は「やがて、『モナリザ』の絵のようなこのツイートの本当の価値に気づくだろう」と思いをネット上に書き込んだ。

 ただの電子データを希少な一点モノに変えたのが、NFTだ。

NFT

ある電子データが真正なことを示す「証明書」のようなもの。英語の「Non(ノン) Fungible(ファンジブル) Token(トークン)」の略称で、「非代替性トークン」などと訳される。ビットコインなどの暗号資産(仮想通貨)と同様に、ブロックチェーン(分散型台帳)と呼ばれる技術で管理する。透明性が高くて改ざんやコピーが難しく、だれが買ったかの履歴なども記録して残せる。

 都内のソフト開発企業アステリアによると、今のNFTの元となる規格は17年に生まれ、ゲーム内のデータなどの売買に使われ始めた。米プロバスケットボールNBAの名場面の動画にNFTを組み込み、収集家向けのカードとして売られているのが一例だ。

 海外サイトのNonFungible.com(ノンファンジブルドットコム)によると、市場は今年に急拡大。3月には英クリスティーズのオークションで、米国人アーティスト・Beeple(ビープル)のデジタルアートのNFTが約75億円(6900万ドル)相当で落札されて話題を集めた。

 キャンバスに描いた絵画などと違い、デジタル作品は手にとれない。画面撮影(スクリーンショット)などで簡単に複製できる。それでも高値で買い手がつくのは、NFTにより「正真正銘の購入者」の証しを独り占めできるからだ。

 NFTの販売収益を寄付する…

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