広い世代に接種進むか 変異株で鈍る感染の減少ペース

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市野塊 枝松佑樹 野口憲太
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 東京や大阪など9都道府県に出ている緊急事態宣言が6月20日まで延長されることになった。すでに同日を期限に宣言が出ている沖縄県と合わせ、計10の都道府県で宣言の適用が続くことになる。多くの自治体で感染状況は改善傾向にあるが、感染力が強い変異ウイルスの影響で、感染爆発段階の「ステージ4」を脱していない。政権が「頼みの綱」とするワクチン接種の進展が今後のカギを握る。

 朝日新聞の集計では、最近1週間の10万人あたりの新規感染者数は、沖縄県が103人、北海道が75人と深刻な状況だ。ほかの8都府県は改善傾向で、東京都29人、愛知県42人、大阪府26人、福岡県34人などとなっている。大阪府はピーク時の3分の1以下で、東京都とともにステージ3に近づきつつある。

 10万人あたりの療養者数をみると、26日時点の内閣官房のまとめで、北海道は151人。「ステージ4」指標の5倍に達している。大阪府も120人、福岡県も94人と極めて厳しい状況が続いている。沖縄県では重症者用の病床も98%が埋まっている。英国型の変異株が全国で急速に広がっていることから、感染の減少ペースが鈍く、重症化した患者の入院が長引くと指摘されている。

 緊急事態宣言の再延長を了承した28日の基本的対処方針分科会では、「ステージ3(感染急増)」に入り、ステージ2の方向に着実に進むことが確認できた段階で宣言を解除すべきだという意見が大勢を占めた。人出を抑えることが必要だが、厚生労働省の専門家組織によると、東京都では繁華街の夜の人出が前週比で7%増えている。国内での確認例は限られているが、さらに感染力が強い恐れがあるインド型変異株の広がりを遅らせることも課題だ。

 一方、これまでの宣言延長と異なる要素がワクチンの普及だ。分科会の尾身茂会長は「今回のワクチンは自分が感染しない、人にも感染させない点でも有効だと示されてきている」と期待を寄せる。メンバーの舘田一博・東邦大教授(感染症学)は「高齢者がワクチンをうち終えれば重症例が減り、医療の逼迫が収まってくる。それをめざして進めなければと話し合った」と述べた。

「高齢者うち終えれば…」

 ワクチン接種は1回目をうち…

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