GDP、2四半期連続マイナスの見方強まる 宣言延長で

古賀大己
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 新型コロナウイルスを受けた首都圏などの緊急事態宣言の延長が確実視されるなか、2021年4~6月期の国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長に陥るという見方が強まっている。ワクチン接種の進展などで回復基調にある中国や欧米との差がさらに広がる可能性がある。

 政府が4月下旬に出した3回目の宣言はその後、対象が10都道府県に拡大。そのうち9都道府県は今月末に期限を迎えるため、政府が延長する方向で最終調整している。延長期間は6月20日までという案が有力で、その場合、4~6月のうち約2カ月間が宣言中となる。その間は、時短営業や外出自粛で、外食や旅行などのサービス消費が大きく落ち込むとみられる。

 大和総研は24日、宣言の延長期間を6月末までと仮定した場合、半導体不足による自動車の減産の影響も重なり、4~6月期のGDPの実質成長率は年率で前期比2・9%減になるとの見通しを発表した。3度目の宣言が出る前の3月時点では年率4・8%増の高い伸びを見込んでいた。

 みずほリサーチ&テクノロジーズも2・8%減と予測。対照的に、同社の予測では、米国の4~6月期の成長率は年率7・9%増で、6・4%増だった1~3月期から勢いを増し、実質GDPはコロナ禍前の水準を回復。中国も5期連続のプラス成長が続くとみる。1~3月期で日本と同様にマイナス成長だった欧州も、4~6月期は1・8%増のプラス成長とみており、日本だけが取り残されそうな状況だという。

 明暗を分けたのは、ワクチン接種の進展だ。英オックスフォード大の研究者が運営する統計で、主要国7カ国(G7)のワクチン接種の進み具合を比較すると、26日現在、1回でもワクチンを打った人の割合は英国が56・5%、米国が49・4%。欧州各国も3割を超えるが、日本は6%にとどまり、最低だった。日本政府は7月末までに高齢者の2回の接種を終えることをめざしているが、大和総研の神田慶司氏は「ワクチンの打ち手不足で、7月末までの目標は2カ月遅れるだろう。GDPがコロナ前の水準に戻るのは22年度にずれ込む」と予想している。(古賀大己)

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