コロナ対策、清掃・消毒の頻度は? やはり手洗いが大事
新型コロナウイルス対策の清掃や消毒は1日1回でも十分。ただし普段の手洗いは必要――。こんな見解を、感染症対策を担う米疾病対策センター(CDC)が出した。ウイルスを触ることで感染する「接触感染」のリスクが比較的低いというのが理由だ。どのくらい低いのか。注意点は何か。
接触感染は、感染者のせきのしぶきがかかったり、ウイルスがついた手で触ったりしたものの表面を他の人が触り、ウイルスがついた手で口や目を触るなどして感染することを指す。新型コロナでは、せきやくしゃみのしぶきによる飛沫(ひまつ)感染や、さらに細かいしぶきによるエアロゾル感染とともに感染経路に挙げられる。
ものや皮膚の表面でウイルスがどのくらいの間感染する力を保つことができるかは、素材によって数時間~数日という実験結果がある。最近では西村康稔経済再生相がテレビ番組で、紙幣のウイルスは約1週間感染力を保つと紹介し、「手洗い、消毒は徹底して」と呼びかけた。
CDCの見解は、新型コロナの接触感染リスクに関するいくつかの論文を根拠にしている。そのひとつ、米タフツ大学の研究では、米マサチューセッツの街中で、人々がよく触る場所に新型コロナウイルスがついているか、その場所はどのくらいの頻度で触れられるのかなどを調査。感染にかかわる他の要素を加えて解析した。(https://doi.org/10.1021/acs.estlett.0c00875)
昨年春から初夏にかけて調べたところ、348カ所のうち、わずかでも新型コロナウイルスが見つかったのは、8・3%にあたる29カ所だった。横断歩道のボタン、地下鉄駅のドア、レストランのドアなど12の対象のうち、ゴミ箱のふたが一番ウイルスが見つかった割合が高く、25・0%だった。それぞれの対象にどのくらいの頻度で人が触るのかも調査した。
触ったものから手、そして口などの粘膜にどのくらいの割合でウイルスが移動するかといったことを加味して解析した結果、対象のものを触ったことで感染するリスクは、1千万分の2~1万分の4(中央値は100万分の2・2)と推定された。これは、インフルエンザやノロウイルスと比べても低い値だ。
チームは、必ず触らなければいけないドアノブや、公共のものを触った後の手の消毒は感染リスクを下げるのに役立つとしている。ただ、接触感染のリスクの低さを考えると、感染拡大を抑えるためには飛沫やエアロゾル対策、例えばマスクや他人との距離を空けることが優先されると結論づけた。
では、どのくらいの頻度で清掃や消毒をしたらいいのか。CDCは、ドアノブやエレベーターのボタン、机などのよく触る場所について、1日1回の清掃を勧める。通常はこれで十分だが、24時間以内に感染者や、感染が疑われる人がいた場合は、清掃と消毒を実施してほしいという。
また、小さな子がいる場合や、人通りが多い場合は、もう少し頻繁にしてもいいかもしれないとしている。掃除の時には手袋をし、終わったらせっけんで手洗いをすることも勧めている。
比較的低いとはいえ、接触感染リスクがないわけではない。CDCも普段の手洗いを推奨する。せっけんをつけ、20秒がめやすだ。すぐに手を洗えない場合はアルコール消毒も有効としている。
買い物かごや会社のドアノブ、エレベーターのボタンは?
長年感染制御の研究・教育に…
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