「介護」に群がる買収ファンド もうけ追求できる理由は

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大鹿靖明
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 外資系買収ファンドが、介護サービスを手がける上場企業を次々と傘下に収めている。国が決める介護報酬の伸びは抑えられ、事業者の収支は厳しいはず。なのに、巨万の富を追求するファンドが介護に群がるのはなぜだろうか。

M&Aで規模拡大、効率化と収益増ねらう

 東アジア向けの投資に特化するMBKパートナーズは今年春、介護大手ツクイホールディングスを買収した。株式公開買い付け(TOB)でツクイの議決権の64%を取得。TOBに応じなかった少数株主からも強制的に買い付け、全株を取得する。買収に投じる資金は620億円。MBKの加笠研一郎代表は「5~6年後に再上場する時には3倍にしたい」という。

 介護業界では、昨年に米系ファンドのベインキャピタルが最大手のニチイ学館に対し、MBO(経営陣らによる買収)をおこなったばかり。買収で大手が上場廃止になるケースが続く。

 先例となったのが米系ファンドのカーライル・グループによる日本医療事務センター(現ソラスト)のMBOだ。2012年に株式を非公開化した後、16年に再上場した。カーライルは15~17年にかけて株を売り、この間に企業価値は投資額の3倍弱まで上がったと推定されている。以来、ファンドの間で「介護はもうかる」との見方が広まった。

 厚生労働省の介護事業経営実態調査によると、介護事業者全体の19年度決算の平均収支差率(企業の経常損益率に相当)は2・4%に過ぎない。それでも、ファンドが数年で企業価値を向上できた理由は、M&A(企業合併・買収)による規模拡大にある。

 ツクイの場合、デイサービス…

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