中日と4―4で引き分けた11日の夜、阪神の矢野燿大(あきひろ)監督は胸を張った。「(熊谷)敬宥(たかひろ)の盗塁はすばらしかった。うちらしい野球ができていた」
佐藤輝明やマルテ、サンズらの長打が目立っているが、矢野阪神の神髄は機動力にある。16日現在、33盗塁はリーグ1位だ。
その中日戦。1点を追う七回、2死一塁で代走に出た熊谷が二盗に成功し、糸原健斗の右前適時打で同点のホームを踏んだ。熊谷は13日にも同じ七回2死一塁で代走に起用されて次打者の初球に盗塁を決め、同点に追いつく得点をあげた。
2試合とも追う展開で、2死無走者から長打なしで奪った得点。値千金の盗塁だった。「自分はやれることをやるだけ。いい形になってよかったです」。熊谷は控えめに喜んだ。
今季5盗塁で失敗ゼロの熊谷は、今や代走の一番手。しかも、5度とも生還している。大卒4年目、25歳の内野手で、昨季は1軍で38試合に出場した。打撃に課題があり、今年はキャンプから2軍だったが、代走要員として1軍昇格のチャンスをつかんだ。
熊谷以外にも、阪神ベンチには足のスペシャリストがそろっている。2盗塁の江越大賀、山本泰寛、1盗塁の植田海、島田海吏で、熊谷を含めて計11盗塁。いずれも途中出場がメインの「代走軍団」で、失敗は一度もない。代走に出るだけで相手バッテリーを威圧できている。
外野守備走塁兼分析担当の筒…
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