「おちょやん」勝手に名場面 生きるしんどさとおもろさ

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 ついに最終回を迎えた「おちょやん」。土砂降りのような人生でも、「今日もええ天気や」と笑って生きた千代と、愉快な仲間たちを描いたこのドラマには、心に残る名場面や名ぜりふがたくさんありました。写真とともに振り返ります。

「おんどれ! おはぎ食いやがったなあ」(千代)第2回

 弟のためのおはぎを食い散らかした継母栗子に、千代が食ってかかった場面。これから先の物語のとてつもない展開を予感させた。苦難のオンパレードでもじめじめしなかったのは、千代のたくましさゆえ。悲劇のヒロインにならず、「うちはかわいそやない」と言い切る負けん気。やられたらやり返す根性。河内弁の迫力も相まって、爽快感さえ感じさせるシーンになった。

「この子の鳴き声は、生きるための鳴き声やさけ」(千代)第3回

 コーケコッコー! 一獲千金を狙い、鳴き声が自慢の鶏「流星丸」を売りに来た父のテルヲと千代。品評会の緊張感の中、千代はたんかを切る。「うっとこ貧乏やさけ、まともにエサやられへん。せやさけこの子、いつもおなかへったって大声で鳴いとんねん」。千代の生き方にも重なるせりふだ。苦しくても沈まず、大声ではね返す強さ。それが作品の明るさにつながった。

「家いう字間違うてるで」(旦さん)第10回

 テルヲたちが夜逃げし、帰る家を失った千代。「うちは読み書きが全くできません」「ここに置いたって下さい。もうここしかあれへんのです」と奉公先の芝居茶屋に頼み込む。この時、旦さんの宗助が筆を取って教えてくれたのが家という字。千代が店の曇りガラスに見よう見まねで書いた「家」「父」「母」「弟」の指文字を見て、家の字は線が足りないと千代に言う。紙に筆で1本付け足し、「この1本が千代、あんたやな」。家族は、物語の最大のテーマでもあった。

父との死別、戦争、夫との別れ。物語後半、千代の人生はますます過酷に。不屈の主人公は、どう立ち上がっていったのか。記事の後半で考えます。

■「死ぬまで笑かしたろか」(…

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