スイーツが結んだ縁 マラウイ大使館書記官が飯塚高訪問

徳山徹
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 高校生の取り組みが、新たな国際交流につながった。在日本のマラウイ共和国大使館の1等書記官ファニー・ブワナリさん(46)が4月13日、福岡県飯塚市の飯塚高校などを訪れた。SDGs(持続可能な開発目標)の取り組みの一環として、マラウイのバオバブの木の実を使ったクッキーを製造販売していることを知り、見に来たという。

 マラウイはアフリカ南部の内陸国で、タバコなどの農産品が全輸出の8割を占める。世界最貧国のひとつで、日本発の「一村一品運動」をアフリカで初めて採りいれた親日国でもある。

 飯塚高校はSDGsで掲げられた「貧困をなくそう」の目標に取り組もうと、マラウイに自生するバオバブの木の実の粉でつくったクッキーを、本町商店街の常設ショップ「プチフル」で販売。店内にはマラウイと日本の国旗をあしらった巨大ケーキのオブジェを飾っている。

 「ウワー」。プチフルを訪れたブワナリさんはオブジェをひとめ見て、歓声を上げた。スマホで写真を撮って喜ぶ。その後、同校を訪ね、嶋田吉勝理事長らと歓談。日本に50~60人いるというマラウイ人留学生が同校を訪ねたり、高校同士をオンラインで結び交流したりする構想を聞き、「ぜひ実現を」と話した。

 オブジェを作った製菓部の15人は、製菓実習室でブワナリさんを出迎えた。製菓コース3年の塚本早紀部長(17)がバオバブのクッキーのレシピを説明し、「少しでも現地の方々への支援になれば」。

 部員らの手づくりクッキーやスイーツを味わったブワナリさんからは笑顔がこぼれた。「ベリーデリシャス。ありがとう」。感謝の言葉が次々とあふれ出た。

 プチフルに飾られたオブジェには、マラウイの夕日などもデザインされている。ブワナリさんは取材に「オブジェを通してマラウイが見えた。遠く離れた飯塚にマラウイがあることに感動し、涙が出た。バオバブの木の実は健康によいというが、スイーツにするとおいしいことも知った」と話した。

 「お菓子は人を笑顔にしますね」。生徒とブワナリさんの交流を見ていた嶋田理事長も相好を崩した。「マラウイのことはよく知らなかったが、お菓子を通じて近くなった気がする。心が通じた思いです。これを機に交流を深めたい」(徳山徹)

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