「ジョンはまだ子ども」ビートルズを最初に撮った日本人
阿久沢悦子
写真家長谷部宏(はせべこう)さん(91)には、二つの称号がある。「ビートルズを最初に撮った日本人」「クイーンを最も多く撮影したカメラマン」。今年4月、卒寿を記念し、海外のミュージシャンのライブやオフショットを集めた写真集を出版した。長谷部さんがロックスターを撮り続けた40年余を語った。
「ビートルズを撮影してくれないか」
長谷部さんがのちに音楽系出版社シンコー・ミュージックの社長となる草野昌一氏の依頼を受けたのは、1965年。東京五輪の喧噪(けんそう)を離れ、パリで暮らしていた時のことだ。
それまでは主に映画雑誌のカメラマンとして原節子や高峰秀子、長谷川一夫、片岡千恵蔵らを撮影してきた。テレビ放映が始まり、映画産業に陰りが見え、思い切って日本を離れた。
「当時、僕はビートルズを知らなかったんだ」
撮影で生きた映画誌時代の心得
予習のため、パリの映画館で4人の初主演作「ア・ハード・デイズ・ナイト」を見た。観客の歓声でセリフが何も聞こえない。ものすごい人気だ、ということはわかった。
6月15日、ロンドンのスタ…
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