関西の高齢者2施設で計38人死亡 大半が入院できず

鈴木春香 寺沢知海 浅沼愛
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 神戸市大阪府門真市の高齢者施設で新型コロナウイルスクラスター(感染者集団)が発生し、二つの施設で計38人の入所者が亡くなっていた。大阪府と兵庫県では病床逼迫(ひっぱく)が深刻化しており、両施設では、多くの入所者が入院先が決まらないまま療養を続けていたという。

 神戸市は7日、市内の介護老人保健施設(4月16日時点で入所者133人、職員121人)で、入所者97人と職員36人の計133人が集団感染したと発表した。入所者25人が亡くなり、そのうち23人は施設内で療養を続けていた。記者会見で市幹部は「満床で入院できなかった人が大部分だと思う」と説明した。

 市によると、この施設では4月14日に最初の感染が判明し、18日には初めての死者が出た。常勤の医師がおり、酸素投与や投薬の治療は受けていたという。市幹部は「施設でできる限りの治療はしていたと考えている」と話した。ただ、施設は認知症の利用者も受け入れており、マスク着用が不十分なまま多くの患者が施設にとどまったことで、施設内感染が広がったとみられる。

 大阪府門真市内の有料老人ホーム(定員44人)では入所者40人が感染し、60代~90代の男女13人が死亡していたことがわかった。そのうち8人は、入院先が決まらないまま亡くなっていた。

 門真市や大阪府の守口保健所によると、4月11日に入所者2人が発熱し、PCR検査で感染が判明。その後、職員と入所者の計約70人を対象に検査をしたところ、26日までに入所者40人と職員21人の感染が確認された。入所者のうち、最初の死者は21日、入院先が決まらずに施設で療養中のところ容体が急変し搬送先の病院で亡くなった。感染した入所者40人のうち、5月6日までに入院できたのは10人にとどまっている。死者の年代ごとの内訳は、60代2人、70代1人、80代6人、90代4人だった。

 大阪府内の介護老人保健施設188カ所が加盟する大阪介護老人保健施設協会(大阪市)によると、これまでも無症状の入所者が施設にとどまっていたことがクラスターの発生につながっていたという。

 府の方針では、軽症や無症状でなければ、65歳以上の感染者は原則入院となる。ただ、変異株に置き換わったとされる第4波では感染者が連日1千人を超えており、症状が悪化しても入院先が見つからずに施設内で亡くなるケースもあるという。木場康文事務局長は「感染者を施設内に留め置く状況が続けば、死者はこれからも増えるだろう」と指摘している。(鈴木春香、寺沢知海、浅沼愛)

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