ハリウッド作品出ても報酬は「日本並み」 変えるには?

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アナザーノート 藤えりか記者

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 こんにちは。藤えりかと申します。「アナザーノート」初登場です。ロサンゼルス支局にいた数年前、米メディアがハリウッドを一大産業かつ政治ロビーの装置ととらえて報じているのを目の当たりにして以来、世界の映画・動画産業を経済や政治の観点で取材してきました。

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アナザーノートは、紙面やデジタルでは公開していないオリジナル記事をメールで先行配信する新たなスタイルのニュースレターです。今回は5月2日第36号をWEB版でお届けします。レター未登録の方は文末のリンクから無料登録できます。

 最近、日本で労働問題を取材するにつれ、「この業界は働き方や報酬の面でも日米格差がありすぎる」と問題意識を強めてきました。

 映画業界で働く、ましてや画面に映る俳優の仕事と聞くと、きらびやかなイメージを受けますが、特に日本では立場の弱いフリーランスとして、報酬の面でも長時間労働という意味でも、「やりがい搾取」さながらに過酷な労働条件を強いられるケースが目立ちます。ハラスメントも横行。映画業界にあこがれる人たちも多いだけに、深刻な問題です。

日本でハリウッド並みの好待遇……とならない現実

 「多様性や新たな才能を求める流れから、海外作品を日本で撮影しようという案件が企画段階も含めて増えている。忙しくなっています」

 ハリウッド大作の製作も経験し、日米の映画業界に携わる岩上紘一郎さん(36)に取材したとき、そんな言葉を聞いて内心期待しました。岩上さんは海外作品を中心に日本の俳優らをキャスティングする会社「カイジュウ」(東京・渋谷)の社長。大予算のハリウッド作品への日本の俳優起用が増えれば、日本でハリウッド並みの好待遇が広がるきっかけになるのではないか――と。

 ところが、関係者にいろいろ聞いていくと、必ずしもそうしたアメリカンドリーム的な展開にはならない現実を知りました。

 日本で撮影された米国の作品に出演したある俳優は、示された報酬の額に驚いたそうです。もっと高いだろうと思っていたら、想像以上に低かった、と。

 そのワケについて書く前に、なぜ「ハリウッド並み」だと好待遇になると一般に言えるのか、解説したいと思います。

トップスターも加入している米国の「俳優組合」

 米国には88年の歴史を持つ…

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