新型コロナウイルスについて、特定の遺伝子をもつ人はもたない人に比べて4~7倍ほど重症化のリスクが高い可能性があることがわかったと広島大が発表した。リスクを把握することで、早期の治療につなげたいという。

 28日、医療系の学部がある霞キャンパス(広島市南区)で新型コロナ関連の研究成果の発表があり、大学院の大段秀樹教授(消化器・移植外科学)が説明した。3月までに広島大学病院、県立広島病院、舟入市民病院で同意が得られた230人の新型コロナ患者の遺伝子を調べたところ、ウイルスの増殖を食い止める機能が弱い遺伝子をもつ人は7倍、免疫の暴走を手助けする遺伝子をもつ人は4倍、重症化のリスクが高い傾向がみられたという。

 大段教授は「重症化しやすい遺伝子を想定して治療すれば、救命にもつながるのではないか」と指摘。研究を続ける予定で、「PCR検査で陽性になった時点でリスクを判定できるようにしたい」と話した。

 田中純子副学長(疫学・疫病制御学)は、県内の新規感染者数の推移や広島市の広島駅・紙屋町周辺の人出のデータに基づいた今後の感染状況の予測を紹介し、「感染は確実に広がっている。このままの行動を続けると感染者数が伸びていく」と話した。

 同大は昨年4月、霞キャンパス内に新型コロナのプロジェクトを設置。医学や薬学、保健学など27の研究室が研究を進めている。(宮城奈々)