「この作品に絶対に必要なシーンだと思ったし、役を全うしたいと思った。ただ、私自身セクシュアルなシーンを撮るということが初めてでした」。水原希子さんが初主演を務めるネットフリックス映画「彼女」(配信中)。極限の愛と苦しみの間で揺れ動く女性たちの逃避行の物語で、裸になったり肌を重ね合ったりするシーンも描かれる。今回、水原さんの提案によって「インティマシー・コーディネーター」と呼ばれる専門家が日本のネトフリ作品で初めて起用された。現場の環境を変えた初主演作は、これまで「自分を『役者』と思って作品に挑んだことはなかった」という彼女にも変化をもたらした。
インティマシー・コーディネーターとは
「インティマシー・コーディネーター」とは、ヌードやラブシーンなど体の接触や露出がある場面で、演じる側と演出する側の意向を確認し、両者が最大限のパフォーマンスを発揮できるようサポートする仕事だ。水原さんは映画について米国で活動している俳優の友人に相談したときに、その存在を知ったという。
「アメリカでドラマとかにも出ている友人が、セクシュアルなシーンとか肌を見せるシーンがあるときは、インティマシー・コーディネーターを入れるんだよ、と教えてくれて。そういうシーンでつらい思いをした役者さんがいっぱいいるから、アクションシーンと同じように、インティメート(親密な)シーンではインティマシー・コーディネーターを入れているんだよ、という話で、勉強になりました」
インティマシー・コーディネーターは、#MeToo運動で俳優たちが声を上げたことを機にハリウッドを中心に起用が進んでいる。
「『アデル、ブルーは熱い色』でも、セックスのシーンがフィーチャーされて、本人たちが満足した環境で挑めなかったという話が後から出ていて、そうなるのってすごく悲しいと思うんです。自分の出ている作品で、そういう思いをしてしまうというのは絶対あってはいけないことだと思う」
「もちろん私はこの作品に携わる方々のことは信じています。でも、信じる信じないっていうことよりも、そういうものだと思って導入していく必要があると思う。そうした整理をする必要がある、という風に感じたんです」
事前に面談 スタッフは最低限に
この思いをネットフリックス側に相談したところ、日本のネトフリ作品では初めてインティマシー・コーディネーターが起用されることになったという。
実際の撮影では、事前にイン…
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