出演の場、ないならつくれ ハリウッドに挑む若者たち

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シネマニア経済リポート:DXで挑むハリウッド(上)

 雪の舞う米ニューヨーク・マンハッタン。2012年1月、脚本家で俳優の近藤司さん(37)は混み合うカフェに駆け込んで、待っていた監督の川出真理さんと俳優の本田真穂さんに手書きの紙を見せた。

アメリカのエンタメ業界で日本人が成功するのは至難の業。3人が高いハードルを超えられた背景を、ポッドキャストで藤えりか記者が解説します。

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 紙にしたためたのはドラマの構想案。ニューヨークを舞台に、同性愛日系人男性と渡米したばかりの日本人女性を軸にしたコメディーだ。「日本のテレビが扱わないテーマのドラマを作って、YouTubeに上げたい」

 近藤さんは京都大学経済学部を卒業した08年、「演劇がしたい」と渡米。在学中に1年休学して日本の芸能事務所に入り、俳優活動を試みたものの、「特にテレビは技能や才能よりも運や処世術の世界」と感じ、失望していた。ニューヨークで演劇学校に通い、オーディションをいくつも受け続け、脚本を書いては送った。だが、米国人にとっても競争が激しいエンタメ大国で外国人が機会をつかむのは至難の業。特にアジア系は今以上に、多様性の波からこぼれがちだった。

 折しも米国ではデジタル変革(DX)の流れで、新進映画人が自主製作ドラマをネットで配信し、ハリウッドなどの目に留まる例が増えていた。同じことができないか。「待っているだけで与えられることなんて、まずない。自分が作らないと自分が出たい作品には出られない」。そうして、演劇学校で知り合った本田さんや、以前出演した短編映画の監督の川出さんに声をかけた。

 日本での芸能活動を経て09…

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