キャラクター化したトリチウム 「ゆるキャラ」と批判も
【福島】復興庁は14日、東京電力福島第一原発の処理水に含まれるトリチウムをキャラクター化して説明したチラシや動画について、ホームページなどでの公開をわずか2日でやめた。分かりやすく伝えたいと「ゆるキャラ」のように表現したが、問題の深刻さとのギャップに批判が集まり、中止した。
福島大の後藤忍准教授(環境計画)は「海洋放出するのは『汚染水』ではなく、安全とされるレベルのトリチウムしか含まれていない『処理水』であることを伝える狙いがあったのではないか」とみる。
かつてプルトニウムを燃料とする高速増殖炉「もんじゅ」を抱える福井県内の自治体や原発PR施設での広報用に作られ、批判を浴びたプルトニウムのキャラクター「プルト君」を彷彿(ほうふつ)とさせるとし、「過去の教訓を踏まえていない」と指摘した。
県立医科大の村上道夫准教授(リスク学)は「処理水ではなく、イラスト化の是非へと議論のポイントが移ってしまった。キャラクター化は親しみやすさを重視した結果だと思うが、多くの方に向けて情報を発信するとき、読む側の立場や意見も多様だということを忘れてはいけない」と話した。
復興庁は政府方針が決まった13日、ホームページにA4判2枚のチラシと2種類の動画(本編4分26秒、短編40秒)を公開した。処理水に含まれるトリチウムは雨水や海水、水道水や人間の体内にも存在することや、原発敷地内のタンクから海に流すときは大幅に薄めることなどをキャラクターを使って説明していた。(力丸祥子)
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