処理水放出、トップ会談で整った 政治判断までの舞台裏

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石井潤一郎 平林大輔 菊地直己
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 「処理水の処分は、福島の復興を成し遂げるためには避けて通れない」。海洋放出を決めた13日の関係閣僚会議後、菅義偉首相は記者団に「避けて通れない」との言葉を3回繰り返し、「政治判断」を下した自らの姿勢を強調した。

 昨年2月、6年に及ぶ議論を踏まえて、経済産業省の専門家の会議が「海洋放出が現実的」とする提言を公表した。当時の安倍政権は海洋放出の方向性を決めながらも踏み切れずにいたが、菅政権は9月に発足した勢いを駆って、放出の方針を決める調整を始めた。

 タンクが満杯になるとされるのは、当時は「2022年夏ごろ」と言われていた。海洋放出に向けた具体的な計画や施設の整備には原子力規制委員会の認可が必要で、官邸幹部らは2年程度を要するとみていた。「ここで判断をしなければ、いずれタンクで保管できなくなる」。首相周辺は当時、繰り返しそう説いていた。首相も周囲に「調整が難しい」としつつも、「やらないといけない」との考えを示していたという。

閣僚のひとり「貧乏くじをひいた」

 ところがこの時、政府は一転…

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