囲碁名人戦予選で「待った」 盤上の石ずらし反則負け

大出公二
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 囲碁名人戦の予選で、対局棋士の一方がすでに着手した自分の石を別の場所にずらして対局を続けるハプニングがあった。対局後に相手棋士から異議申し立てがあり、日本棋院は「待った」に当たるとして、石をずらした棋士の反則負けとした。

 ハプニングは8日の名人戦予選C1回戦、河野征夫(ゆきお)五段(80)―尚司和子三段(83)戦で起きた。中盤、尚司三段は122手目を打った約20秒後、手番の河野五段の考慮中に直前に打った石をずらした。

 河野五段はその場で指摘せず対局を続け、およそ10手後、見回りに来た立会人に相手の「待った」を告げた。立会人はその場で対局が中断されていないことから続行を指示。最後まで打ち続けて終局図は尚司三段の勝ちだったが、河野五段は異議を申し立てた。尚司三段も石をずらしたことを認め、棋院は13日の常務理事会で尚司三段の反則負けとした。

 日本囲碁規約には「双方が勝敗を確認した後にあたっては、いかなることがあっても、この勝敗を変えることはできない」とあるが、棋院は河野五段が対局中に立会人に「待った」があったことを訴えていることから、終局まで打ち続けたとはいえ、負けは認めていないと結論づけた。

 尚司三段は取材に対し、「対局のとき目が腫れていて、打った石がずれていたので『ごめんなさいませ』と言って直した。相手が何も言わなかったので打ち続けた」と話した。

 河野五段は「(相手が石をずらしたとき)相手の負けと思ったが、自分の消費時間が減っていくのが気になりそのまま打ち続けた」と話している。(大出公二)

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