フジHD「隠し得」では 外資規制不備、放置した総務省

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 フジテレビなどを傘下に置くフジ・メディア・ホールディングス(HD)が外資規制に違反していた問題で、武田良太総務相は9日、総務省が同社から2014年に相談を受けていたことを認め、その時点で違反状態が解消されていたために「処分できない」と判断していたと明らかにした。この判断は「今も妥当」とし、同社の「認定放送持ち株会社」の認定を取り消すことはできない、という考えを示した。

 放送法は、議決権の外資比率が20%以上の事業者は認定を受けられず、違反した場合は総務相が認定を取り消さなければいけないと定めている。

 総務省やフジ・メディアHDの説明によると、同社は14年9月末まで約2年間、議決権の外資比率が放送法が禁じる20%以上だったが、違反状態を解消後の同年12月上旬に2度、総務省にその事実を伝えたうえで相談していた。

 武田氏は、当時の放送政策課長が相談を受け、厳重注意にとどめたことを認め、「違反状態がその時点で存在しないのであれば、放送法上、取り消しができないと判断した」と説明した。当時、根拠としたのは1981年に旧郵政省が外資規制違反と取り消し処分の関係について「内閣法制局に相談し、整理した考え方」だったという。

 その内容は「処分を行う時点で事由が存在することが必要で、当該事由が存在しないなら、処分を行うことができない」というもので、武田氏は「この考え方は今も妥当と考える」と強調。そのうえで、「(同社の)認定取り消しはできない」と明言した。

 最近では、外資規制違反で放送関連会社「東北新社」の衛星放送子会社の一部の認定取り消しが決まったが、この場合は、認定の申請段階で外資規制に違反していたため、認定を得た後に違反したフジ・メディアHDとは異なるという。

 ただ、フジ・メディアHDの当時の対応については「発覚後すみやかに総務省に報告すべきだった」「しっかりと公表することが適当だった」などと批判した。総務省の対応は、処分に関する法解釈も、事案を公表しなかった点も、放送法上の問題はなかったという認識を強調した。

 違反事案が相次いで発覚したことから、総務省の審査体制が十分でなかったことは事実上認め、外資規制の審査を強化することを表明。新たに担当部署を設け、外資比率を定期的に把握できるように態勢を整える考えを示した。今後は定期審査で違反が分かれば、認定を取り消すなどの対応をとるとしている。

 だが、現状では、外資規制の不備は明らかだ。

違法状態、解消後に報告すれば処分されず

 「外資規制違反に気づいても…

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